放送大学で受講中の「英語で「道」を語る('21)」 の「LESSON 12 逆説/Paradox」で参照されていたサマセット・モームの『人間の絆』を読んでみようと思い、近所の図書館で借りてきました。講義で参照されていたのはオリジナルの英語の方ですが、借りてきたのは日本語訳です。
新潮社の「W・サマセット・モーム全集」の第2巻「人間の絆1」なのですが、図書館で所蔵していたのが古く、昭和32年5月20日第4刷でした。発行が古いのは気にしませんが、奥付には、「定價 250圓」の外に「地方賣價 260圓」とありました。「地方売価」って、初めて見ましたが、なんでしょう?
Webを検索したら、神戸大学附属図書館報(Vol.12, No.4)で副館長である濱口 八朗氏の「本・書物・書籍・図書・書-雑感-」の中に次のような記述がありました。
当時、子供の雑誌には「定価」のほかにそれよりやや高額の「地方売価(という表現だったと思う)」が書いてあった。家の近くでは地方売価であったが、新興書房へ行くと定価で買えたので時々行っており、その本屋を知っていたという次第である。
またレファレンス協同データベースには三田市立図書館が2018年5月23日に登録した「書籍の「地方売価」がなくなった年を知りたい」がありました。『日本雑誌協会日本書籍出版協会50年史』(Web版)の38頁に詳しい情報があるようです。参照してみましたが、次のような記述があるだけで、「地方売価」が何かという疑問は解消しませんでした。
その結果,59年6月22日に「各取次店の販売原価に定価の1分を織り込む」ことを骨子とした「全国均一運賃込み販売制」の覚書が書協・取協間で取り交わされ,9月1日より実施された(これにより地方売価表示も廃止となった)。
さらに「【丸善創業150周年】出版物で辿る丸善の歴史 ~戦後復興期編~」にも以下のような記述があり、「地方売価」というものが存在していたことは確認できるのですが、「地方売価」とは何時から存在するものなのかとか、「地方」とは具体的に何処かなどの疑問は解消しません。
奥付に1,800円(地方売価1,890円)と記されていて、当時は全国統一価格ではなかったことがわかる。
本を借りた目的は『人間の絆』を読んでみることなのに、横道にそれてしまいました。
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