『平家物語』を暗唱しようと、昨年夏に思い立ちました。まずは有名な「祇園精舎」を覚え、次に「殿上闇討」を覚えました。その次の「鱸」を覚えようとしているところですが、この調子では最後に辿りつくのが何時のことになるのか、もしかすると何百年後になるのか、遠い将来になりそうです。
暗記するつもりで読んでいると、「中頃」という表現が度々現れます。例えば、次のような感じです。
- 中頃は都のすまゐもうとうとしく
- 中頃大宰権帥季仲卿といふ人ありけり
なんとなく意味は分かるのですが、手元にある辞書『ベネッセ古語辞典』で確認してみました。
なか-ごろ【中頃】〔名〕昔と今との中間の時代。そう遠くない昔。
ふと思うと、今日の我々は「近頃」という表現を使います。これに対して「中頃」は、近くはないが、遠くもない、ちょうど中間という意味なのだと思います。ここで気になるのが、近頃でもなく、中頃でもない、遠くのことを「遠頃」と言うかというと、そういう表現は聞いたことがありません。
こそあど言葉の一種ですが、「こなた」、「そなた」、「あなた」、「どなた」という表現は、古語と現代言葉では使い方が変化しています。これから類推すると、「近頃」、「中頃」とくれば「遠頃」だってありそうな気がするのですが、あまり聞いたことがありません。時代を経て消滅してしまったのか、もともと存在しなかったのかは、わかりません。
0 件のコメント:
コメントを投稿