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2024-11-11

タナ・フレンチ『捜索者』を読了

映画「室井慎次 敗れざる者」のパンフレットの中で、亀山プロデューサのコメントで次のようなことが書かれていました。

そこで君塚さんにタナ・フレンチのミステリー小説「探索者」の話をしたんです。警察を辞めた男が山の中の小さな村に移住して廃屋を修繕しつつ暮らす話。あの小説がとても良かったので、あんな感じはどうだろうと君塚さんと話し合ったのが今の形の原形です。

 

この小説に興味を覚えたので近所の書店を探してみたら置いていたので買ってみました。ハヤカワ文庫ですが、700ページ弱もあるし、1,500円以上もするので文庫とはいえ安くはありませんでした。普段は小説をあまり読まないし、ストーリーに馴染めるか確信がなかったので、若干躊躇するところはありました。


読みはじめてみると、物語の波にうまく乗れた気がしました。主人公の感情に共感できるところもできないところもあり、登場人物に感情移入できたわけではありませんが、次はどうなるんだろうという興味が読み進めるエネルギーになっていました。読み終えて、ハッピーエンドではありませんが、心が重く沈んだ気持ちとなる訳ではなく、心地よい読後感となりました。

 

「訳者あとがき」によれば、『初秋』(ロバート・B・パーカー著)という作品があるようです。この本にも興味を持ったので、探して読んでみようかと思います。

2020-10-24

劇場版 銀河鉄道999

2020年10月4日にBS12で「劇場版 銀河鉄道999」が放送されたので(録画しておいて)観てみました。有名な作品なので大体の内容は知っていたのですが、以前に観た記憶はないので、最初から最後まで通してみたのは初めてです。おおまかなストーリは、母親を機械伯爵に殺された少年(星野鉄郎)が機械の身体を貰えるという星に行くため、銀河超特急999号にメーテルと一緒に乗車して旅を続ける、という話だったと思います。1979年公開なので、40年ほど前の作品です。


鉄道が出てくる作品ですが、鉄道ファン向けの作品という訳ではないでしょう。しかし鉄道ファン的に鑑賞することは可能だと思います。そのような視点で考えると、まず「超特急」というのが時代を感じます。1964年に開業した東海道新幹線で「超特急ひかり号」が登場(ちなみに「こだま号」は特急です)しました。特急よりも速いのが「超特急」というイメージです。今日の東海道新幹線の主役は「のぞみ」なので、「ひかり」に過去の輝きは失われています。


また1979年頃は、鉄道を趣味とする人は「鉄道ファン」もしくは「鉄道マニア」と呼ばれていたのではないかと思います。その後「鉄道オタク」という呼び方が生まれ、さらには「鉄ちゃん」などの呼び方もされ、最近では細分化して「乗り鉄」とか「撮り鉄」のような「○○鉄」という呼び方が多くなっています。そう思うと、主人公である星野鉄郎はメーテルから「鉄郎」と呼ばれていますが、もっとカジュアルに「鉄ちゃん」と呼ばれる可能性だってあったかもしれません。そういう呼び方になると、なんだかなぁという気もしますが。


999号を牽引したのは(見かけ上だけですが)「C62」の姿をしています。現実のC62は東海道本線などの幹線で優等列車を牽引した名機です。しかしSLの代表がC62なのかと考えると、そうも言えないところがあるのではないでしょうか。「デゴイチ」の愛称で有名な「D51」の方が蒸気機関車の代表のような気もします。しかし銀河超特急999号の牽引機がD51では物語にならないとは思いますので、C62で良かったのでしょう。

2020-08-22

イングリッド・バーグマン出演の1944年の映画「ガス燈」

2020年8月20日にNHK BSプレミアムで放送された映画「ガス燈」を録画しておいたので、視てみました。この作品から派生した「ガスライティング」という用語もあります。今日の状況と絡めて説明されることがあるので、その映画を視たいと思っていました。


作品の前半で語られてた伏線が最後に纏まり「THE END」を迎えます。後味の悪い結末にはならないだろうと思っていましたが、最後までハラハラしました。最後にポーラ(イングリッド・バーグマン)に対してブライアン(ジョゼフ・コットン)が語った言葉は未来への希望を抱かせます。現実もそうであることを願うばかりです。

2020-02-28

この世界の(さらにいくつもの)片隅に

2019年12月末から公開されている映画「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」を観てきました。数年前に前作「この世界の片隅に」も観ています。別の作品という訳ではないので、基本的にストーリーは同一なのですが、前作ではエピソードの展開が唐突だったところがありましたが、その間を埋めるようなシーンが挿入されており、話の流れが分かりやすくなりました。

しかしながら、ストーリーがほぼ同一の作品が、追加シーンを加えて改めて公開されるというのは、珍しいことです。人気のある作品が、後日続編を制作するというのは、これまでもあったことですが、ほぼ同一の作品が数年後に公開されるという映画は、他になにかあるのでしょうか。

この作品から何を感じるかは様々かと思います。しかし深刻に考え込まず、物語りを純粋に楽しむのも良いとも思います。

前作では後日「この世界の片隅に<特装限定版> 」を買いました。多分今回の作品でも発売されるでしょう。発売されたら、すぐに買おうと今から楽しみにしています。

2019-05-07

「七人の侍」時代の風景

2019年3月21日にNHK BSプレミアムで黒澤監督の「七人の侍」が放送されました。録画しておいたのですが、4時間弱もある長い作品ですし、余裕がなかったので、視る機会がありませんでした。この連休中にようやく視ることができました。過去に一度見た記憶があるのですが、あまりよく覚えていないので、初めて見たのとほぼ同じです。

作品の時代設定は戦国末期(1586年)ですが、時代考証をしているとは言っても、描かれている風景がその当時の様子を正確に再現しているのかどうかは、実際のところよくわかりません。この作品が公開されたのは昭和29年ですから、江戸時代末期くらいの風景ならば残っていたかもしれません。しかしさすがに中世末期の風景は残っていないでしょう。中世末期から近世の頃は、今日にくらべれば時代の変化が少ないと思われるため、江戸時代末期でも戦国時代末期でも、農村や宿場町の風景はたいして違いは無いのかもしれませんが、正確に言えば、同じというわけでもないでしょう。

作品の初めで、志村喬が演じる島田勘兵衛が宿場町を歩いていく周囲の風景は、破れた塀や、瓦屋根や板葺き・茅葺きの建物が並び、過去の日本の風景を彷彿とさせます。作品の中心となる農村の様子はセットを組んだようですが、それ以外のシーンでもセットを組んでいるのか、それらしい場所を探してロケをしたのか、よくわかりません。しかし21世紀の今日では見ることができなくなった、昔の日本の姿があり、とても心を惹かれます。

2017-02-14

映画「この世界の片隅に」

映画「この世界の片隅に」を観ました。以前から気になっていたのですが、なかなか機会がありませんでした。公開後の評判も良く、予想以上に長期に亘って上映されています。しかしこのままいつまでも上映され続けるわけではないでしょうし、あまりにも遠くの映画館でしかみられなくなるのも困るので、腰を上げることにしました。

よくある戦争映画とは違い、直接的な描写や台詞で物語をすすめるのではなく、間接的に心情を伝えていくので、その描写の奥にあるものを受け止められるかどうかは自分自身にかかっています。画面の一部であったり、台詞の断片を、何気なしに見過ごしてしまったり、聞き逃してしまっても、もし何も気付かないとしたら、作品が訴えようとしていることが分かっていないのかもしれません。

とても良い作品だったと思います。主役の声もイメージとピッタリで、作品をより引き立てていると思います。

2016-09-15

超高速!参勤交代 リターンズ

9月10日に公開された映画「超高速!参勤交代 リターンズ」を視ました。この映画は形式的には時代劇とは言っても、ここに歴史を求めるのは筋違いでしょう。あまり深刻に考えず、気軽に楽しめる娯楽映画だと思いますし、楽しめました。主人公が危機的状況に陥っても多分悲劇的結末には至らないだろうと思っていて(実際その通りでした)、心臓に負担のかからない作品です。

この作品は歴史的現実も物理法則も超越しているので荒唐無稽な展開が多いとは思いますが、時代背景や地理的状況や文化を反映しているところもありました。いったいどこが荒唐無稽で、どのあたりが歴史的事実などを踏まえているのかに気付くためには、歴史や文化に対する深い素養が必要になってくるのではないでしょうか。

言うまでもありませんが、この作品はドキュメンタリーではないので現実を正確に再現する必要はなく、何も知らなくても気軽に楽しめることが大目的のはずです。この目標は達成されているでしょう。そうであっても台詞の端々に現れるちょっとした言葉の中や登場人物のキャラクター設定などに、創作ではない現実が仕込まれていたように思います。それに気づくためには自らの教養が反映されなければならないと思います。多分自分の教養の深浅に応じて、気付く箇所は変わってくるでしょう。