書店で『年貢』(渡辺尚志、中公新書2920)を見かけたので、購入し読んでみました。「年貢」という言葉そのものは、学校で習いますし、時代劇などでもお馴染みです。しかし実態に詳しいわけではなく、江戸時代は領主に米を納めており、時には一揆を引き起こす場合もあったという程度の認識しかありません。
本書は、その「年貢」について、詳しく書かれています。とても勉強になりました。
江戸時代の年貢は、領主と領地との関係で成り立っています。本書を読んでいて思ったのですが、現在の政府や自治体と住民との関係のように、全国どこでも統一されたいるわけではないと思います。ある領主と、その領地の村々だけを考えれば、何らかの仕組みが出来ているでしょう。しかしながら、その仕組みが全国統一されたものとは思えません。幕領とか国替のない大名などであれば、江戸期を通じて、同じやり方だったかもしれません。しかし「鉢植え大名」という言葉があるように、国替を繰り返していた大名家もあります。また領主が次々と変化した村々もあるでしょう。年貢についての全国統一方式がないということは、領主側にとっても領地側にとっても、仕組みを再構築する必要があったということです。お互いの認識しているやり方が微妙に違っていると、わざわざ説明するのが面倒だったのではないでしょうか。仕組みが全国で統一されていれば、お国替えがあっても、領主としても、領民としても、年貢の納める方式に違いはないので、楽だったでしょう。しかし江戸時代と言うのは、徳川幕府は「全国統一政府」ではないので、各大名のやり方に口をはさめなかったと思います。
「鉢植え大名」で、諸国を転々とするのは、大変だったとは思います。しかし、そのように転々とすることで、年貢の収受にかかわる極端なローカルルールが淘汰される契機にもなったかもしれません。
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