2022-05-05

「彼女は小学生だけどすごい政治学者なのだ」

NHKが放送している「100分 de 名著」の2022年4月のテーマはアリストテレスの『ニコマコス倫理学』です。放送と併せて発売されるテキストを購入するようにしています。今月の解説者は東京大学大学院教授の山本芳久さんです。


テキストの30頁では、「若者に倫理学は向かない?」というタイトルで倫理学が扱う問題に対する傾向について論じています。その例示のために、アメリカのような飛び級制度がある国を想定し、「彼は小学生だけどすごい数学者だ」とは言うが、この記事の標題のような、「彼女は小学生だけどすごい政治学者なのだ」とは言わないだろうと書かれています。それは数学のような学問分野に必要とする厳密性は年齢に依らないものの、倫理学が扱おうとする問題にはある程度の人生経験の蓄積を必要とするからだと記しています。

 

これは、まったくその通りだと思います。 しかしながら、この文章を読むまで、このような事に気付いていませんでした。具体的な報道記事を指摘できる訳ではないのですが、漠然と何かのニュースで米国では10代なのに理数系の大学院で先端的な研究をおこなっているという様な記事をみかけたような気がします。しかしあらゆる学問分野で同様なニュースが報じられたかというと、実際に見聞きしたことはありません。それは単に私が知らないだけだと思っていましたが、学問分野に依るのだという指摘には思いも至りませんでした。


短い人生で、古今東西の森羅万象を漏れなく身につけることなど、出来ようもありません。少しでも近づこうとする努力のなかで、ひとつの得た情報を、それ以外にも適用していくことは少なくありません。しかしそこには落とし穴がないわけではない事に、今回気づかされました。

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