2022年5月27日号のThe Japan Times Alphaに掲載されていた「英語でお仕事101」のテーマは「英語圏の人と仕事をする際、名刺の渡し方は日本と同じですか?」でした。その回答は「特にルールはなく、失礼のない渡し方であれば細かい部分は気にしなくても問題ありません」というものでした。質問に対する対する回答は妥当かと思いますが、日本では名刺の渡し方に細かいルールが存在することを知っていることが前提になるでしょう。そうでなければ、何を質問されているのか理解できないのではないかと思います。
日本では会社の新人研修で名刺の渡し方を事細かに教え込むといわれています。そのようなことをしている会社が本当にあるのか、詳しくは知りません。日本的な「名刺の渡し方」をマスターできないと、社会人としてなっていないと叱責されかねない雰囲気があるように思います。しかし名刺の渡し方というような些細な事柄を気にしない文化も少なくないので、そういう文化圏の人であれば、何を気にして質問しているのか理解に苦しむと思います。
例えば、買い物をした際にレシートの渡し方に謎のルールが存在する国があるとします。レシートを渡す場合には両手でとか、相手の目を見てとか、深々と御辞儀をするなどが指導されていて、間違うと社会人失格とされるとします。そのような国の人が、そういう謎ルールの無い国の人に質問すれば、質問された側は何を質問されているのか理解に苦しむのではないでしょうか。あえて回答するならば、「普通で良いよ」という程度かもしれませんが、質問した側からすれば回答になっていないと思うでしょう。質問した側は、もっと細かい具体的な行動を教えてもらいたいと思っているのです。
レシートの例は冗談ですが、名刺の件にしろレシートの件にしろ、コミュニケーションをとるには共通の理解が基盤にあることは否めないのではないでしょうか。
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