2021年8月に放送される100分 de 名著はアレクシエーヴィッチの「戦争は女の顔をしていない」です。著者であるアレクシエーヴィッチはウクライナの生まれです。20世紀末にソ連が崩壊してしまい、21世紀におけるロシアとウクライナの関係が、独ソ戦の頃のソ連の中であるロシアやウクライナの関係から、どのように変わったのかはよくわかりません。
WW2について学校で学ぶ事柄や、書籍などで語られている事柄は、100分 de 名著のテキストで次のように書かれている事柄(7ページ)が大多数だと思います。
「いつどこでどう兵が動いたか」「どういう戦略によって勝利したのか」などといった戦場の「事実」
しかしアレクシエーヴィッチの関心は、同じくテキスト(7ページ)に書かれている、以下のような事柄です。
それよりも、普通の人々が戦争に巻き込まれて、どんな経験をしたのか、どんなことを感じたのかを大事にしています。
戦争の「事実」を語るのは、裏付けとなる文書などが残されている場合もあるでしょうし、「客観的」で望ましい方法と一般に思われているのでしょう。それに対して、個々人の記憶は、本当の事なのかどうかすら怪しい「主観的」な話しでしかなく、しかも記憶に混乱が無いかとか、意図的に話しを改変したり、もしくは隠したりしていないかなど、取り扱いの難しい素材です。ひとつひとつの話しについてみれば、全てが紛れもない真実とは言えないかもしれませんが、テキストで以下のように書かれている事(23ページ)は、私もその通りだと思います。
たとえ一つ一つの証言に嘘や偽りがあっても、それらがたくさん集まることで、互いに是正され浄化される、というのが彼女の考えです。
これまで行われてきたような方法で歴史を語るのが間違っているという事ではないと思います。しかしそれだけではない方法もあるということを、今月の100分 de 名著から学べる気がしています。
0 件のコメント:
コメントを投稿