2021-08-07

サマセット・モームの『月と六ペンス』

先日サマセット・モームの『人間の絆』を読みました。サマセット・モームの名前は以前から知っていましたが、『人間の絆』がモームの作品だとは知りませんでした。むしろ、どこで仕入れた情報なのか覚えていませんが、モームの作品というと『月と六ペンス』でした。


近所の書店に行ってみたら、「新潮社の100冊 #キュンタ大作戦 2021」というキャンペーンをやっていました。眺めていたら、サマセット・モームの『月と六ペンス』があったので、買ってみました。


長編ですが、『人間の絆』に比べれば短かったし、一気に読了しました。『人間の絆』は1915年に発表された作品ですが、『月と六ペンス』は1919年です。両作品は、ずいぶん作風が違う感じがしましたが、一方で著者が同じであるので、興味関心の在り処は似通っているとも感じました。


『人間の絆』において主人公フィリップは、絵が得意で、画家を目指そうとしたこともありました。『月と六ペンス』において、主人公ストリックランドは、人生をかけて画家として生き抜きます。


さらに、ストリックランドは「わたし」に対して「人生には意味などないんだ。」と言い放ちます(第41章)。『人間の絆』が「人生には意味がない」という事をテーマに据えていたのに比べると、この発言は『月と六ペンス』のテーマに関わるわけではないと思います。しかし著者であるモームの思考の中には、「人生には意味があるのか、それともないのか」という問題意識があるのでしょう。

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