2021-03-23

「仕事」って何?

日常会話の中で「(あなたの)仕事は何ですか」とか「それは(私の)仕事なんですか」という事があります。また子供に対して「今は勉強する事が仕事なんだから」という事もあるようです。ここで疑問があります。「仕事」って何でしょう?


手持ちの辞書(『明鏡国語辞典 携帯版』初版)には、次のように書かれています。

  1. しなければならないこと。
  2. 収入を得るための勤め。職業。
  3. 力学で、ある物体に力が働いて、その位置が移動すること。

大型の辞書を引けば、もっと詳しい説明があるでしょう。上述した3番目は、日常会話で言及されることは少ないと思うので、たいていは1番目か2番目の意味で使うと思います。しかし「しなければならないこと」と「収入を得るため」とでは、意識が違うと思います。

子どもに対して「勉強が仕事だ」と言うときに、「勉強が収入源だ」という意味には(直接的には)なりません。しかし誰かに「仕事は何ですか」と尋ねるとき、「収入源は何ですか」という意味と「しなければならなのは何ですか」という意味のどちらにもなるでしょう。どちらか確定するには、文脈によると思いますが、日常会話なら曖昧にすませることも多いのではないでしょうか。

ここで英語について考えてみます。やはり手持ちの辞書(『グランドセンチュリー和英辞典』第2版)では「仕事」の英訳を「【働くこと】work; a job; labor; business; a task;【職業】an occupation; a job;【任務】a duty; an assignment」と書かれています。

日本語の感覚で「仕事」に言及した時に、英訳して「work」としても、受け取る側は英語の感覚で理解すると思います。手持ちの辞書(『Collins COBUILD New Student's Dictionary』Second Edition 2002)には、次のように書かれています。
  1. People who work have a job, usually one which they are paid to do.
  2. People who have work, or who are in work, have a job, usually one which they are paid to do.
  3. When you work, you do tasks which your jobj involves, or a task that needs to be done.

このように辞書を見ると、日英とも「仕事」と「work」は同じような意味を持っていることがわかりますが、その重点の置かれ方は異なっているように思います。どちらに重点をおくべきなのかを言いたいのではありません。ただし重点の置き方は、発信側にも受信側にも様々でしょう。と言う事は、コミュニケーションで誤解を生じやすい表現ではないかと思うのです。


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