2020-04-19

COVID-19の見通し

COVID-19に対処するため日本では緊急事態宣言が出されました。その対象範囲が拡大されてもいます。それに対して、宣言が遅いとか、対象範囲が不適切ではないかという意見もあります。その一方で、宣言が出されているにも関わらず、いまだに人の往来が多すぎて、感染を抑え込めていないとの発言もあります。それらの一つひとつの発言が、妥当なのか否か直ちに判断するのは容易ではありません。それについての背景に関する専門的な知識も必要ですし、現状に関する正確な情報も必要ですが、それを全員が同じように持っているわけではないのです。

このような時期においては、「緊急に対処する必要のある非常時なんだから」ということが、あらゆる事柄を正当化する理由として持ち出されがちですが、それは危険性をはらむことを十分に念頭におかなければならないと思います。

COVID-19対応は未知との戦いという側面が強いため、専門家(ここで、それが何の「専門家」なのかが重要になってくると思いますが)によって、主張する方向性が、必ずしも一致している訳ではないように見えます。さらに、テレビや新聞などの報道においては、どれを見ても同じ情報源から出てくる同じ情報を同じように伝えているばかりで、思考の幅を狭める方向に進んでいるのではないかと思います。

情報を受け取る側にとっては、多種多様な情報がメディアから伝えられると、それを読み解く能力が要請されていることになります。個々人にとっては、それらの情報を自分でカバーできる範囲は各々で異なるし、意見が一致しない状況で国の方向性を決める合意形成ができるのかという不安もあります。そのような情勢では、シンプルな発言に吸い寄せられる圧力が高まるので、気を付けたいと思います。

COVID-19対応は今後どうなっていくのでしょうか。今は感染拡大を防ぐことで精一杯で、先の事なんか考えている時期ではないんだという意見はあるかと思いますし、それはその通りかと思います。しかしそれだけでは済まないとも思います。

例え話となりますが、自動車の最大積載量について「つめるだけ」というステッカーが存在しているようです。当然これは冗談にすぎないのですが、COVID-19の今後の見通しについても、「収束は何時か」という問いに対して、「収束した時」という答えが出てきそうで心配です。

見通しについて単純な話しか出てこない背景には、未知との戦いだから不明点が多いこともあるとは思いますが、思考の途中結果を省いて結論だけに飛びつこうとする受け手側の問題と、説明しても理解できる訳がないと侮っている発信者側の問題があるでしょう。

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