「元始、女性は太陽であった」で知られている平塚雷鳥は、本名は「平塚 明(ひらつか はる)」だそうです。「雷鳥」を当時の仮名遣で表記すると「らいてう」になりますが、発音として「らいてう」だった訳ではないと思います。文章を発表する際に、「平塚雷鳥」としたり「平塚らいてう」としたりしたそうですが、それは当時に仮名遣に従っていたからではないのでしょうか。
『昭和十七年七月国語審議会 新字音仮名遣対照表』には、次のような事が書かれています。
第二十二 オ列拗音の長音に発音される ちやう、てう、てふ は ちよう とする。
二 てう を ちよう とするもの
弔 チヨウ テウ
鳥 チヨウ テウ
朝 チヨウ テウ
兆 チヨウ テウ
超 チヨウ テウ
調 チヨウ テウ
彫 チヨウ テウ
この通りであるなら、「鳥」を「テウ」としていたものを「チヨウ」(今なら「チョウ」でしょう)にするという意味だと思います。これに従えば「雷鳥」は「らいてう」と以前はしたものの、今なら「らいちょう」となります。また「山村暮鳥」だって、当時の仮名遣に従えば「山村ぼてう」だったのではないでしょうか。
ここで「平塚雷鳥」を「平塚らいてう」とするのは、当時の仮名遣の習慣に従っていただけなのか、それ以上の強い意志があるのか、よく分かりません。当時の仮名遣に従っていただけなら、今日であれば「平塚らいちょう」としても構わないと思います。そうではなくて、「平塚らいちょう」ではなく「平塚らいてう」とするのが自己のアイデンティティとして譲れないと考えていたのであれば、それを否定するつもりはなく、尊重したいと思います。
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