2024-02-10

殿上闇討

平家物語は、「祇園精舎の鐘の声」で始まる「祇園精舎」が有名です。平家物語巻第一の次に書かれているのが「殿上闇討」です。これは、平清盛の父親である忠盛が昇殿を許され、それを快く思わない殿上人が「闇討」を図った物語です。

 

まず次のように語られます。

 雲の上人是を嫉み、同き年の十二月廿三日、五節豊明の節会の夜、忠盛を闇打にせむとぞ擬せられける。

 

この事は忠盛の耳にも入り、いろいろありますが、結局はこうなります。

其夜の闇うちなかりけり。

 

結局何事もなく目出度し目出度しですが、もし「闇討」が実行されていたとするなら、何がおこなわれていたのでしょうか。物語では、忠盛の郎党である左兵衛尉家貞が護衛についたものの、忠盛の近くには居られず「殿上の小庭に畏て候ける」と描かれています。殿上人といえば公卿ですから、闇討ちの実働部隊ではないと思います。しかし忠盛の郎党でさえ「殿上の小庭」より先には行けないくらいですから、殿上人の配下の腕っ節の強そうな郎党だって殿中には入れなかったのではないでしょうか。

 

そうなると、「雲の上人」が「忠盛を闇打にせむ」と相談した際に、自身が木刀か何かで(?)忠盛を袋叩きにしようと考えていたのだろうかと思うと、なにやら滑稽です。

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