サマセット・モームの『人間の絆』を読んでいます。図書館で借りた新潮社の「W・サマセット・モーム全集」の第2巻から第4巻に『人間の絆』が収録されており、第3巻(3分冊としては2番目)を読んでいるところです。主人公フィリップは、画家になりたくてパリに行きますが、自らの才能に疑問を感じ、画家を諦めてイギリスに戻り、今度は医者を目指して学校に入ります。
フィリップと医学校の友人ダンスフォードがよく通っていた店で給仕をしていた女性に惹かれていく場面に、次のようなこと描写がありました。
まだ六ペンス本の廉価版文学書が出ない前の頃で、その代りには、そこら三文文士どもが、注文次第に書き飛ばす、ミーチャンハーチャン向きの安小説本が、決って、ドンドン売り出されていた。
今日使われている「ミーハー」という表現の語源は「ミーチャンハーチャン」だと聞いていましたが、本当に使われている場面は初めて目にしました。
ここで「ミー」とか「ハー」が何を意味するのかは諸説あるようです。その一つに、音階の「ドレミファソラシド」に由来するとした説があるそうなのですが、Webで検索した情報(語源由来辞典「ミーハー」)には、「ミーハー」よりは多少高尚な「ソーラー族」という表現が昭和30年頃に誕生したと書いてありました。今日では廃れてしまっており、そんな表現もあったのかと驚くばかりです。
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