2020-10-06

変体漢文とJapanese English

放送大学教養学部で2020年度第2学期は「漢文の読み方('19)」 (宮本 徹・松江 崇)を受講することにしました。そこで図書館に行き、参考になるような書籍を探し、『漢文と東アジア―訓読の文化圏』(金 文京)を借りてきました。日本語を表記するために漢字は欠かせませんし、中学高校でも漢文の授業があります。漢文を読むために訓読がありますが、よく考えると「訓読」は日本だけではなく、漢文の影響を受けた東アジアでは(訓読とは呼ばないとしても)同様のことがおこなわれたハズです。


学校で習う漢文の時間では軽く流してしまうような事柄についても、本書では実例を踏まえて詳述されており、とても興味ぶかく読了しました。


「第3章 漢文を書く/2 さまざまな漢文」の192~194頁では「変体漢文の分類」として、変体漢文が生じる理由として4つに分類されています。

  1. 書き手が未熟で、規範的漢文を書くつもりが、変則的になってしまう。
  2. 母国語の語法が無意識に反映される(これを日本では「和習」とか「和臭」と呼ぶようです)。
  3. 母国語の語法を意識的に反映させる。
  4. 漢字を表音的に用いて自国語を記述する。

変体漢文というのは規範的な漢文に対する用語です。日本人が漢文だと思っているのは古代中国語に相当しており、(本書によれば)近現代の中国語とは違うもののようです。

それはともかく、変体漢文が生じる理由は、今日において日本人が英文を書こうとしたときにも生じているのではないでしょうか。1番目の理由のように、「書き手が未熟で、規範的英文を書くつもりが、変則的になってしまう」ことを「ブロークン・イングリッシュ」と呼ばれています。2番目の理由のような「和習や和臭」のことを「Japanese English」と呼ばれていると思います。

いつの時代でも、どのような外国語でも、生じる現象は同様であるようです。

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