The Japan Times Alphaの2020年10月30日号のエッセイ「Views & Visions」はJoel Tanseyさんによる「Where the grass is greener」でした。記事では日本の鉄道に驚いたことが語られています。
I'm sure that for people who grow up here, it is easy to take the world-class transportation system for granted.
The Japan Times Alphaは「英語学習者のための英字新聞」を謳っているので、記事中の一部には訳注がついています。上述した引用には「take ~ for granted ~を当たり前とみなす」と訳注がついていました。
これを見て、随分前に『
DUO 3.0』を勉強していた時を思い出しました。この本のコンセプトは「日本の「いろは歌」をヒントに、現代英語の重要単語1600語と重要熟語1000語を重複なしで560本の英文に凝縮させ」たという点にあるそうです。普通の単語帳だと、見出し語ごとに例文があるので、N語掲載の単語帳にはN文の例文が載っています。ところが『DUO 3.0』は、たった「560文」に凝縮している点がセールスポイントという事になっています。それは良いと思うのですが、「いろは歌をヒントに」したというのが解せません。「いろは歌」というのは寺子屋時代の仮名手本というイメージですが、「多くの語を凝縮するための手法」という印象はないのです。
閑話休題。『DUO 3.0』には次のような文が掲載されていました。
"Let's make up, Lisa." "Stop taking me for granted! We're through for good this time. I mean it!"
ドラマの一場面のような例文ですが、そこはDUOですから、この中に暗記すべき語が忍び込ませてあるのです。そのひとつが「take A for granted」(Aを当然のことと思う)です。
単語帳で勉強する事の是非が話題となるときに言及されることですが、「単語帳の例文は、現実には見かけないようなものが多い」という意見がつくことがあります。DUOの例文がそうだという訳ではありませんが、僕自身がこの例文を見た時に「(ドラマでもない現実の状況において)この表現を使うことはあるんだろうか?」と思った事は確かです。
DUOで勉強していたのは随分前の事ですが、それ以来「take A for granted」という表現を目にしたことはありませんでした(DUOで学んだ語が現実に目にしたものも数多くあり、DUOが役に立ったことは確かです)。そしてThe Japan Times Alphaのエッセイで、その表現に出合い、「やっぱり使われているんだな」と思いました。