『ナショナルジオグラフィック日本版』の2020年10月号に掲載されている「雄大な自然を足の裏に感じて」(文/ニコラス・クリストフ、写真/ザッカリー・クラマー)を読みました。米国には、国土を縦断する長距離トレイルがあるようです。
- パシフィック・クレスト・トレイル(PCT)4,265km
- コンチネンタル・ディバイド・トレイル(CDT)4,990km
- アパラチアン・トレイル(AT)3,525km
大きな国だけあって、どのトレイルも吃驚するほど距離が長いです。日本で青森から鹿児島までが約2,000kmと言われますから、その2倍以上もあります。
記事の中で著者は次のように書いています。
1970年にエリック・ライバックという10代の少年が、パシフィック・クレスト・トレイルの全区間を踏破した。その挑戦に関するナショナルジオグラフィック誌の記事と、ベストセラーになった彼の著書を、私は貪り読んだ。
ここに書かれている「ベストセラーになった彼の著書」というのは『ハイ アドベンチャー ある青春・山岳4000キロ縦走記』の事でしょう。近所の図書館が所蔵していたので、読んでみました。
著者であるEric Rybackは、18歳の時に1970年6月10日から同年10月16日にかけて約4,000kmの全区間を踏破しています。単純計算すると1日あたり30kmくらいになります。しかし平地を歩いている訳ではなく、山岳地帯ですし、食料などの大きな荷物も背負っていて重かったと思います。全区間を踏破したこと自体も驚きますが、毎日30km以上も歩き続けた事も驚異です。さぞかし強靭な精神力の持ち主なのかと思いがちですが、書籍を読むと、苦悩もあったようですし、気分のアップダウンも激しかったようです。
書籍のなかでエリック・ライバックは次のように記しています。
モニュメント78のほとりで休息していた、内気でいつもびくびくしていたような少年は、いま3700キロ以上遠く離れたここにすわって、たちまち仲よくなったはじめての相手とオープンに、そして親しげにつき合っている。
究極の体験は著者に大きな変化を与えたようです。
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