2020-09-03

VSI版OpenVMS Alpha 8.4-2L1のZIPEXE

VSI版OpenVMS AlphaのCommunity Licenseを取得したら、キットを提供している場所も教えてくれたので、ダウンロードしておきました。ところが拡張子が「ZIPEXE」になっています。自己解凍形式ZIPファイルだと思うので、Hobbyist OpenVMSとして入手したOpenVMS 7.3で実行してみましたが、エラーが出てしまいました。


問題が発生した時の基本的な態度は、エラーメッセージの意図するところを理解して解決を図ることです。それはそうなのですが、このアプローチでは解決までの道のりは遠そうです。別のアプローチとしては拡張子「ZIPEXE」とは何者なのか調べてみることです。このような拡張子は以前には見かけた記憶がありません。


comp.os.vmsで「ZIPEXE」というキーワード検索をしてみたら2006年8月30日付の投稿「Changes to OpenVMS Patch Kit Formats」が見つかりました。さらに投稿に対する応答の中に次のような記述を見つけました。

ZIPEXE is ZIPSFX. You can unzip it with your own UNZIP program on any platform you like (eg. you unpack the IA64 or VAX ECO on your MARVEL) and you can unpack it on the intended platform without any UNZIP.EXE (because it is part of the archive file).

ZIPEXEというのは、予想していたように自己解凍形式ZIPファイルのようですが、解凍するのは、unzipが使えさえすれば、OpenVMSでなくても良さそうです(自己解凍するなら、実行イメージとして有効なのはOpenVMS Alphaだけだと思いますが)。そこでFreeBSD/amd64 12.1上のunzipを使ってみまたところ、解凍することに成功しました。これならエラーメッセージの調査は不要です。


3つあったZIPEXEの中は、次のようになっていました。

  1. ALPHA0842L1.ZIPEXE

    Archive:  ALPHA0842L1.ZIPEXE

      Length     Date   Time    Name

     --------    ----   ----    ----

     623616000  02-07-17 15:46   ALPHA0842L1.ISO

  2. ALPHA0842L1DOC.ZIPEXE

    Archive:  ALPHA0842L1DOC.ZIPEXE

      Length     Date   Time    Name

     --------    ----   ----    ----

      4722688  07-19-17 11:43   AVMS842L1DOC.ISO

          540  07-19-17 11:43   AVMS842L1DOC.ISO_VNC

  3. AVMS842L1DOC.ZIPEXE

    Archive:  AVMS842L1DOC.ZIPEXE

      Length     Date   Time    Name

     --------    ----   ----    ----

      4722688  07-19-17 11:43   AVMS842L1DOC.ISO

          540  07-19-17 11:43   AVMS842L1DOC.ISO_VNC


ここで2番目と3番目は、ファイル名が違いますが、中に入っているファイルは同一のようなので、実際には1番目と2番目だけで良いのでしょう。


次の問題は、ZIPを解凍すると出てくるISOファイルの中には何が入っているのかということです。Microsoft Windows10のエクスプローラーではISOファイルをマウント出来るそうなので、確認してみました。AVMS842L1DOC.ISOの方は、次のようになっていました。

 ドライブ E のボリューム ラベルは AVMS842L1DOC です

 ボリューム シリアル番号は 4F70-5FF6 です


 E:\ のディレクトリ


2017/01/27  02:38           575,985 VSI_OVMSALPV842L1_SPDQS.PDF

2017/01/24  02:44         1,960,883 VSI_OVMSALPV842L1_UPG.PDF

2017/06/22  03:03           599,634 VSI_OVMS_ALP842L2_NFRN.PDF

2015/05/12  00:36           454,876 VSI_OVMS_LMF_UTILITY.PDF

               4 個のファイル           3,591,378 バイト

               0 個のディレクトリ               0 バイトの空き領域

しかしALPHA0842L1.ISOをマウントしようとすると、「ファイルが壊れています」というエラーが出てしまいます。ただこれはISOファイルが壊れているという事ではないと思います。FreeBSD上で確認してみたところ、次のような結果を得ました。

ALPHA0842L1.ISO:                 Files-11 On-Disk Structure (ODS-2); VAX/VMS or OpenVMS file system; volume label is 'ALPHA0842L1 '

AVMS842L1DOC.ISO: ISO 9660 CD-ROM filesystem data 'AVMS842L1DOC'

Windows10がマウント出来るのはISO9660形式だけなのでしょう。ALPHA0842L1.ISOはOpenVMSのファイル形式「Files-11」になっているだけで、別に壊れている訳ではありません。


ALPHA0842L1.ISOをCDに焼いておかないと、インストール作業には利用できません。問題なのはWindows10のエクスプローラーでは、ISO9660形式のISOイメージしかCDに焼けないことです。どうしようかと思いましたが、PCの中に「Nero Express Essentials 12.0.20000」が入っていたので、これを使うことにしました。こちらはISO9660形式以外でもCDに書き込めるので、問題はありませんでした。


VSI版OpenVMS Alpha 8.4-2L1をインストールするためのキットが入手できたので、これをつかってDigital PersonalWorkstation 500auにインストールできるか試してみようと思います。

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