NHK出版から数ヶ月おきに出版されている「世界史のリテラシー」シリーズの最新刊である『仏教は、いかにして多様化したか』を買って読んでみました。日本は(いちおう)仏教徒が多いことになっています。しかし現実としては、葬式を仏式でおこなうことが多いとか、お墓参りに行くことがあるという程度の話しです。例えばキリスト教徒がキリスト教の教えに親しんでいるのに比べると、日本人が仏教の教えというものを、どのくらい理解しているのか怪しいところです。
かく言う私自身も、仏教については、よくわかっていません。僅かに知っていることといえば、仏教はインドで成立したとか、中国から日本に渡来したとか、我が家の宗派が何であるとか程度です。さらに言えば、日本の仏教は、平安仏教(天台宗や真言宗)とか、鎌倉仏教(浄土宗、日蓮宗、禅宗など)は、仏教発祥のインドには無いようですし、日本に仏教が渡来した元である中国にだってあるようには見えません。そうならば日本の仏教とは何なのでしょうか。そもそもアジア各国に拡がっている仏教というのは、同じものなのでしょうか。そのような疑問をこれまで感じてきました。
本書は、仏教の成立から日本の仏教が多様化した現状までを、網羅的に記しています。それらを一つ一つ詳しく語ると、約150ページの本書では語りきれないでしょう。そういう意味で、概要を提示しているにすぎませんが、私の疑問は、ひとまず解消しました。
本書の「はじめに」では、次のように書かれています。
全四章を眺めてみると、古代インドでの仏教誕生から、二十一世紀の日本仏教までの「仏教通史」になっていることがおわかりでしょう。もちろん、限られた紙数で本当の仏教通史など書けるはずはなく、それはあくまで主要なトピックの数珠つなぎにすぎないのですが、それでも釈迦から現代日本に至る仏教の大きな流れを略図として理解していただくのには役立つものと考えています。
何事もそうですが、まず全体像を把握したうえで、個別に気になる点があれば詳細に入っていく方法があります。その一方で、個々の細部を語ることで、(運が良ければ)全体像が理解される筈というアプローチもあります。仏教については、これまで、細部を云々する情報が多く、それで結局全体像はどうなっているの?という点が疎かになっているきらいがありました。本書を読んだことで、細部が全体像の中に位置づけられたので、スッキリしました。
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