NHKラジオで「Enjoy Simple English」という番組があります。金曜日は「シャーロック・ホームズの世界」として2週連続で一つの物語が放送されます。先日は「The Lonely Cyclist」でした。その物語は、次のように始まりました。
One day, Ms. Violet Smith, came to us for help.
シャーロック・ホームズはコナン・ドイルが創り出した架空の人物で、探偵ということになっています。現実に生存していた訳ではありませんが、1900年前後のロンドンで活躍していました。ホームズは依頼人の相談を鮮やかに解決するという点が、シリーズの特徴です。当時のロンドンの世相がわからないのですが、相談事のある依頼人は、警察に相談するのではなく、ホームズのような探偵に相談事を持ち込むというのが、普通だったのでしょうか。言い方を変えれば、よくあることだったのでしょうか。当時のイギリスは階級社会ですから、社会的なクラスによっては、警察を頼らず、探偵をつかって解決させるような事情があったのでしょうか。
ふと日本における銭形平次を思い出しました。平次も野村胡堂が創り出した架空の人物で、江戸時代の御用聞きという設定になっています。当時の江戸の町々に起こるいざこざを解決するのですが、娯楽物語なので、どこまで当時の実像に即しているかはわかりません。少なくとも、水戸黄門、大岡越前、暴れん坊将軍のような雲の上の人物が出てくるよりは、現実感があります。
シャーロック・ホームズはロンドンで、銭形平次は江戸ですが、コナン・ドイルや野村胡堂が小説を書いたときに、読者が納得できる描写を意識したはずです。歴史的事実を忠実に再現する必要はありませんが、あまりにも荒唐無稽では、読者がついてこないでしょう。そう考えれば、ホームズや平次の物語の舞台は、当時の社会の姿を映しだしていると思います。
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