美術館で作品を鑑賞する際に、「風景画」というジャンルに属するとされる作品が展示されていることがあります。このジャンルについて、僕が作品鑑賞の指針を得るために参考にしている『まなざしのレッスン』では、「背景から独立したジャンル」であると説明しています。美術史的には、神話や宗教的な一場面を描くことから派生して人物画や静物画が登場したのと同様に、風景画が成立したそうです。そこに異議をとなえるつもりはありません。
絵を描く意義というものが、時代の移り変わりで、変化していったのだろうとは思います。古くは宗教画であったものが、宗教的な意識から分離したのだろうと思います。その時に、人物画であれば、貴族や豪商などが自分自身や身内を顕彰するために「人物画」を描かせて屋敷に飾るというのは、考えられるところです。
しかし「風景画」というのは、何のために描くのでしょうか。貴族などのパトロンの依頼で描くならば、依頼したパトロンの思い出か何かに結びつくのかもしれません。しかし時代が進み、画家が画家自身の意向で描くようになるならば、そこに画家が何かの意義を見いだしていたのではないかと思うのですが、そうではないのでしょうか。
しかも絵画というのは写真と違い、いかに写実的であったとしても、それが現実の風景の瞬間を切り取ったとは限らないのです。なんとなく描いたら、なんとなく作品が完成したという事もあったのかもしれませんが、それだけとも思えません。
風景画を描く意義や意味は何であるのか、とても気になります。
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