2022-03-12

せっかち

「せっかち」という言葉があります。手元にある辞書『明鏡国語辞典 携帯版』(初版第3刷)では、次のように書かれています。

先へ先へと急いで、落ち着かないこと。また、そうした性質の人。性急。


実際のところ「せっかち」というのは、こういう意味だと思っており、異議はありません。ところで、「せかせか」という語については、次のように書かれています。

あわただしくて落ち着かないさま。


要するに「せかせか」した状態についての表現が変化して「せっかち」となったのではないかと思います。


では、関西圏の人が使う「いらち」というのは何でしょうか。この語は手元の辞書には掲載されていませんでした。意味的には、「せっかち」とはニュアンスが違うかもしれませんが、似たようなことだと思います。「いらち」は掲載されていませんでしたが、「いらいら」なら載っており、次のように書かれています。

思い通りにならず、あせって感情が高ぶるさま。


「せかせか」が「せっかち」として使われるように、「いらいら」が「いらち」として使われるのかもしれません。末尾にある「ち」が気になりますが、これは「がち」の変化という気がします。辞書には次のようにあります。

《名詞や動詞の連用形に付いて》・・・の割合が多い、・・・の傾向が強い意を表す。


このように見てくると、「せかせか」が「せっかち」に、「いらいら」が「いらち」になったと考えてよさそうに思えます。であれば、他の表現だって同様の変化があっても良かったのではないかと思います。たとえ、現実に日本語の語彙になくてもです。


「のろのろ」していると「のろち」とか、ご飯を「パクパク」食べるのは「パクち」とかは、どうでしょうか。

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