KeePassXCはブラウザ側にアドオンを入れることで連携できるようになるそうです。連携できると何か便利になるのか、それとも無くても構わないものなのか、体験してみないことには判断できません。ブラウザにはFirefoxを使っているので、アドオン「KeePassXC-Browser」を入れて、どんなものなのか動作を確認してみようとしました。ブラウザ側のアドオンを使うには、KeePassXC側の設定「ブラウザー統合」で利用するブラウザを選んでおく必要があるそうです。そこでKeePassXCの設定画面を開いたのですが、「ブラウザー統合」という項目がありません。
Webで情報をあつめてみても、「ブラウザー統合」 という設定項目は存在しているもののようです。事前に何かの設定を有効しておく必要があるとか、前準備が要るというものではないようです。しかしNetBSD/i386のpkgsrc 2019Q1にあるKeePassXCには「ブラウザー統合」がありません。どういうことでしょう?
この現象が起きているのは、僕のマシンが不良なのか、NetBSDの問題なのか、KeePassXCの特定のバージョンに起因する障害なのか、原因を絞り込まなければなりません。Webを検索して直ちに解決策が見いだせれば良いのですが、「ブラウザー統合がメニューに出てこないのは何故?」というような質問をしている人は見つかりませんでした。
NetBSDでMATEデスクトップ環境を利用する上で、何かの調査に役立つかと思って、Microsoft WIndows10上のVirtualBoxでUbuntu MATEの環境を作ってありました。ここにKeePassXCを入れてみて、NetBSDとの違いを確認してみます。すると驚いたことに、設定画面には「ブラウザー統合」が最初からありました。やはり存在するのが当たり前ということなのでしょう。
UbuntuのKeePassXCには設定「ブラウザー統合」があり、NetBSDのKeePassXCには設定「ブラウザー統合」がありません。その事実は確認できましたが、もっと情報を集められないでしょうか。KeePassXCのメニューの中に「デバッグ情報」という画面がありました。
まずNetBSDでは以下にようになっています。
KeePassXC - Version 2.4.0次にUbuntuでは以下のようでした。
Libraries:
- Qt 5.12.2
- libgcrypt 1.8.4
Operation system: NetBSD 8.99.43
CPU architecture: i386
Kernel: netbsd 8.99.43
Enabled extensions:
- Auto-Type
KeePassXC - Version 2.4.3
Revision: 5d6ef0c
Qt 5.9.5
Debugging mode is disabled.
Operation System: Ubuntu 18.04.2 LTS
CPU architecutre: i386
Kernel: linux 4.18.0-15-generic
Enabled extension:
- Auto-Type
- ブラウザー統合
- SSHエージェント
- KeeShare (signed and unsigned sharing)
- YubiKey
Cryptographi libraries:
libgcrypt 1.8.1
どうやら拡張機能「ブラウザー統合」が利用できない状態になっているようです。それは確認できましたが、なぜ利用できないのか、その原因は不明のままです。NetBSDにある共有ライブラリの何かに問題があるのかもしれませんし、拡張機能「ブラウザー統合」が利用できるのはLinuxとかWindowsなどに限定されているのかもしれません。
GitHubにあるKeePassXCの「Build and Install KeePassXC」を見ると、衝撃的な記述がありました。
cmake accepts the following options:拡張機能「ブラウザー統合」を利用するためにはビルド時に「-DWITH_XC_BROWSER」を指定しなければなりませんが、デフォルトは「OFF」なので、あえて指定してビルドしない限り「ブラウザー統合」が無効になっているKeePassXCが出来上がってしまうのです。
-DWITH_XC_AUTOTYPE=[ON|OFF] Enable/Disable Auto-Type (default: ON)
-DWITH_XC_YUBIKEY=[ON|OFF] Enable/Disable YubiKey HMAC-SHA1 authentication support (default: OFF)
-DWITH_XC_BROWSER=[ON|OFF] Enable/Disable KeePassXC-Browser extension support (default: OFF)
-DWITH_XC_NETWORKING=[ON|OFF] Enable/Disable Networking support (e.g., favicon downloading) (default: OFF)
-DWITH_XC_SSHAGENT=[ON|OFF] Enable/Disable SSHAgent support (default: OFF)
-DWITH_XC_TOUCHID=[ON|OFF] (macOS Only) Enable/Disable Touch ID unlock (default:OFF)
-DWITH_XC_FDOSECRETS=[ON|OFF] (Linux Only) Enable/Disable Freedesktop.org Secrets Service support (default:OFF)
-DWITH_XC_KEESHARE=[ON|OFF] Enable/Disable KeeShare group synchronization extension (default: OFF)
-DWITH_XC_KEESHARE_SECURE=[ON|OFF] Enable/Disable KeeShare signed containers, requires libquazip5 (default: OFF)
-DWITH_XC_ALL=[ON|OFF] Enable/Disable compiling all plugins above (default: OFF)
pkginが拾ってくる2019Q1の出来合いのバイナリは、拡張機能が無効になったままでビルドされたのでしょう。デフォルトが「ON」になっている拡張機能は「Auto-Type」だけのようですから、上述したデバッグ情報に出ているものと一致します。
ここまで確認したところで、pkgsrc「security/keepassxc」をビルドさせてみました。コンパイルが始まる前の環境設定情報収集フェーズのログを見ると、案の定、ほとんどの拡張機能が無効になったままでした。
-- Enabled features:これで原因が判明しました。pkgsrcをビルドすると、拡張機能「ブラウザー統合」が無効になったKeePassXCが出来てしまうのです。これを有効にしたければ、pkginなどで出来合いのバイナリパッケージを利用しては駄目だということです。自分でソースからビルドさせる必要があるでしょう。
* Auto-Type, Automatic password typing
-- Disabled features:
* Networking, Compile KeePassXC with network access code (e.g. for downloading website icons)
* KeePassXC-Browser, Browser integration with KeePassXC-Browser
* SSHAgent, SSH agent integration compatible with KeeAgent
* KeeShare, Sharing integration with KeeShare
* KeeShare-Secure, Sharing integration with KeeShare with secure sources
* YubiKey, YubiKey HMAC-SHA1 challenge-response
-- Configuring done
-- Generating done
-- Build files have been written to: /usr/pkgsrc/security/keepassxc/work/keepassxc-2.4.0/build
=> Rewrite cmake Dependencies files
===> Building for keepassxc-2.4.0
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