日本では交通信号を「青信号」と呼んでいますが、正確に表現すれば「青色」ではなく「緑色」のはずです。日本語では昔から「青色」と「緑色」の表現を混用する傾向があるといわれており、最近でも「日本語における「青」と「緑」の混用、経緯を解明 - 東北大」という記事が発表されています。要するに「青信号」と呼ぶのは日本語の習慣的表現にすぎないので許容される範疇だということのようです。
その一方で色の違いを厳格にとらえる事例もあります。駅のホームの端に点字ブロックが並べて設置されていることが多く、それを駅のアナウンスでは「黄色い線」と呼ぶことがあります。これに対して、「点字ブロックならあるけど、線て何のこと?」とか、「あれは黄色じゃなくて云々」と疑義を呈するむきもあるようです。駅のアナウンスにおいてどのような厳格さを求めているのかわかりません。僕の考えでは、現状のアナウンスでも許容できる範囲です。
人間の眼は自然に存在するあらゆる色彩を認識できるのだろうとは思いますが、認識した色彩が本当に区別できているのか、近接する色彩と混同しているのか、本人以外の他者からは伺い知ることができません。他者が理解できるのは、その色が何と表現されているのかという事だけです。本人の眼から入った色彩が、本人の口から出てくるとき、言語(この場合なら日本語)によって区分された色彩表現によって「デジタル化」されていると言えるでしょう。
RGBカラーコードを使って「(例えば)#95A3D4」のように表現されても、日常会話では困るわけです。
しかも(緑色なのに青信号と呼ぶような)言語の習慣もありますし、日常会話では厳格さよりは大掴みに表現される方が多い傾向があることなども考えると、それらを全て含んだのが「常識」というものなのでしょう。
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