ウェブブラウザを利用してWebサーバ上のハイパーテキスト文書を書き換えるシステムの一種である。これを個人利用に特化したのがTiddlyWikiだと言ってもよいと思います。JavaScriptを駆使して機能が実現されています。全ての機能と利用者が記録する情報がひとつのファイルにまとめられますので、電子的なメモ帳として手軽に利用することができます。
日本語版ウィキペディアに「TiddlyWiki」というエントリがありますが情報が更新されていないようです。最新版が2.8.1となっていますが、これは既に旧いバージョンです。最新版は5.1.13でTW5と呼ばれています。旧いバージョン2.8.1はTWC (TiddlyWiki Classic)と呼ばれるようになりました。TWCとTW5とでは、見た目も機能を大きく変わっているので、TWCを基にした情報はTW5では使えない場合が多いです。
TW5をどのように使うのかはアイディア次第です。公式ページでは次のように紹介しています。
Use it to keep your to-do list, to plan an essay or novel, or to organise your wedding. Record every thought that crosses your brain, or build a flexible and responsive website.情報を管理するための電子的な「大学ノート」や「情報カード」のようなものと言ってもよいでしょう。
例えば何かを調査したり、記録を残すために、専用の大学ノートを用意したりすることはないでしょうか。ただ残念なことに、まめに記録していくのは意外と大変な作業です。せっかく用意したノートなのに最初の数ページしか書き込まれておらず、ほとんどが空白のままになったノートが大量に放置されていたりしないでしょうか。こういう場合にTiddlyWikiを使うと、うまく情報を管理できるかもしれません。少なくとも僕は、こういう目的のためにTiddlyWikiを利用しています。
インターネットが発達した現代は「情報の洪水」と言われます。何かを調査しようとして、検索エンジンを使うと、役に立つ(かもしれない)情報が大量に見つかります。あとで参照するためURLを記録しておきたいところですが、たいていはブラウザのブックマーク機能を使うのではないでしょうか。またPDFとしてダウンロードできる情報が見つかることもあります。あとで参照するために自分のPCに持ってきておくことも多いでしょう。さらに自分の考えや課題などをメモ書きしたファイルを作ることもあります。こうして情報が次々に蓄積されていきますが、次第に何が何処にあるのか分からなくなってきて、同じような情報を何度も探し回るはめに陥るのです。
ブックマークにしろ、自分のPCのローカルディスクに保存していあるファイルにしろ、整理するためにはフォルダを作るのが定番です。しかし、ここで問題が発生します。
- 情報をフォルダに分類して記録するのは、思ったほど簡単ではありません。フォルダの階層を深くするほど分類が細かくなりますが、はたしてその細分化が妥当なのか否かは、容易に判断できません。分類をキチンとすることと、情報がキチンと管理されていることは、似ているようですが、別問題にすぎません。
- ある情報の分類基準を複数用意したい場合が、けっこうよくあります。フォルダを使って分類基準を構成してしまうと、このような場合に困ることになります。U*IXのシンボリックリンクを使えば、ひとつの解決策ではありますが、本質的な解決が図られたわけではありません。
- URLはブックマークで、ファイルはフォルダで、などと複数の手段を用いて管理すると、お互いの連携を持たせるのが難しくなります。
この移行作業に際して実行したこと、上手くいったにしろ失敗したにしろ結果の記録、今後の方針やToDo事項、Webを検索して見つけた情報、ダウンロードして保存したPDFなど、あらゆる情報をTW5でまとめるようにしています。こうしておくことで、情報の実態は自分のPCのフォルダのあちこちに分散していたり、インターネットを介して世界中に分散していたりしても、TW5を通してアクセスできています。しかも情報のアクセス経路も何通りでも用意できるので、ある情報を無理やり何かの分類基準に押し込めなくても済むので、気軽に情報を整理して、もし具合が悪ければ、また気軽に変更することができます。
TiddlyWikiというものを知ったのは10年ほど前のことですが、当初は何に使えば良いものなのかイメージが湧きませんでした。それなのにWebで導入事例を読むと「こんな素晴らしいものはない」と絶賛する文章があったりするので、何が凄いのかさっぱりわかりませんでした。長年利用してみて、まだ使ったことのない機能も多いのですが、これが無くては情報管理は出来ないという気持ちです。今となっては、やはり 「こんな素晴らしいものはない」と思っています。
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