2022-09-29

『次郎物語』に現れる「させていただく」

下村湖人の『次郎物語』が青空文庫で公開されています。この作品が執筆されたのは昭和11年~昭和29年です。作品は「第1部」から「第5部」まであり、青空文庫にあるテキストデータで「させていただく」という表現を探してみたところ、「第1部」に以下の例が見つかっただけでした。 

「それはさようでございましょうとも。でも、私どもといたしましては、病人をお預けしたうえに、みんなで押しかけて参っているようで、まことに面目がございませんし、やはり行ったり来たりということにさせていただきたいと存じて居ります。」


この後に次のような記述が続く。

実をいうと、本田のお祖母さんは、恭一や俊三に病気をうつされるのが恐かったのである。それを体ていよくごまかそうとして、妙な羽目になったので、病室を出てからも、正木一家の人達に対して、よけいなあいそを言わなければならなかった。そんなわけで、彼女はいよいよ正木の家を辞するまでには、大方小半時もかかった。


21世紀の今日では、なぜか「させていただく」が市民権を得ています。しかしそれに違和感を抱く人も少なからずいます。僕もそのひとりですが、その違和感を言語化できていません。


『次郎物語』でこの表現を目にしたとき、「させていただく」というのは、このように、内心を隠しながら体面を誤魔化そうとしている場合に使われる表現であることに気付きました。もちろん、今日の日本で「させていただく」という表現を用いる人が、「内心を隠しながら体面を誤魔化そう」としている「だけ」とは思いません。しかしそのような意識を(自覚しているか否かは別にして)抱えているように思います。


昨今の何でもかんでも「させていただく」で済ませてしまう風潮には疑問を感じていますし、自分自身ではできるだけ使わないようにしようと思っています。

日の丸弁当

コンビニやスーパーの総菜コーナーで売られている弁当に「海苔弁当」があります。唐揚げ弁当とかコロッケ弁当とか幕の内弁当に比べると、海苔弁当の方が安いイメージがあります。


家庭で作るお弁当は、「デコ弁」のように手間がかかるものは別にしても、海苔弁当(のようなもの)を作ることがあるかもしれません。しかし最近では「日の丸弁当」を目にすることは無くなったような気がします。


純粋な日の丸弁当は、ご飯と梅干しだけです(純粋ではない日の丸弁当なら、何か副食が付いているかもしれません)。 これではさすがに貧相だと思います。しかしTKG(卵かけご飯)というネーミングで流行した食文化があることを思えば、「厳選」した「ご飯」と「梅干し」だけで作った「HMB(HinoMaru Bento)」も新たな食文化にならないでしょうか :-)

降水量予測

テレビやネットで天気予報を見ていると降水確率が発表されます。降水確率というのは、「1mm以上の雨が降る確率」であり「降水量の多寡」とは関係ないとされています。要するに確率が高くても降水量が多い訳ではなく、確率が80%でも降水量が数mmだったり、確率が10%以下でも降水量が50mm以上ということはありえると思います。


天気予報で降水確率を発表するようになったのは1980年からだそうです。それ以前から天気予報はありましたが、晴れ・曇り・雨の組み合わせで表現しているだけでした。天気予報の利用の仕方は様々ですが、個人的には外出時に傘を持っていくか要らないかを判断するために利用します。ここで降水確率が低ければ、傘は要らないかなと思うし、確率が高ければ折り畳み傘を持って外出しようと考えます。


しかしテレビで天気予報を視ていると、気象予報士の方が「降水確率は低いですが、傘を持って外出した方が良いです」とか語っていることがあります。「降水確率」と「自分の行動」との間の関係が、直観的ではないように思います。


降水確率というものを気象庁が発表することを否定するつもりはありませんが、日々のテレビなどで発表する必要があるのか確信がもてません。むしろ、日々の予想最高気温や予想最低気温を発表しているように、 降水量予測(できるなら予想最大量と予想最小量)を発表してくれたほうが役立ちそうな気がします。

Shakatak

YouTubeで音楽を聴いていたら「THE BEST OF SHAKATAK」に辿りつきました。Shakatakというのは、1980年から活動しているイギリスのフュージョンバンドだそうです。 


ベストアルバムに収録されている曲の中には「Nights Over Tokyo」、「Kyoto Dreaming」や「Osaka Skyline」など日本の都市名が入っているのは、なぜでしょう。ニューヨークとかパリとかソウルとか、世界各国の都市名が曲名に入っているなら、そういうネーミングが好きなバンドなのかと納得もするのですが、ベストアルバムにはありませんでした。


日本の都市名を含む曲名がベストアルバムに3曲も入っていることを考えると、それほど日本を彼らは気に入っているのかと思ってしまいます。

凍結乾燥と噴霧乾燥

イオンで販売されているインスタントコーヒーは、「チルブレイク インスタントコーヒー フリーズドライ」と「チルブレイク インスタントコーヒー スプレードライ」があります。両者とも本体価格は276円で同一です。しかしフリーズドライは100g入ですが、スプレードライは120g入なので、スプレードライの方が安価です。


フリーズドライというのは、インスタントコーヒーに限らず耳にしますが、寡聞にしてスプレードライというのは知りませんでした。フリーズドライは凍結乾燥とも呼ぶようです。またスプレードライは噴霧乾燥とも呼ぶそうです。


イオンに限らず、インスタントコーヒーがフリーズドライで製造されているのかスプレードライで製造されているのか、一般的には気にしないのではないかと思います。例えば味の素AGFが販売している「MAXIM」はフリーズドライのようですが、スプレードライ版のMAXIMは存在しないと思います。製造コストとか製品としての珈琲の品質などを総合的に判断して、フリーズドライにするかスプレードライにするか決めれば良いのではないかと思うのですが、イオンが両方とも製品にしているのは何故なのか不思議です。

スイッチバック

先日近所の書店で『配線で読み解く鉄道の魅力』を買いました。鉄道に関心があるファンであっても、配線(線路の配置)は話題になりにくい対象だと思います。本書を読むことで、これまで曖昧に理解していた事柄を深く知ることができて、勉強になりました。


 「第5章 中間駅」の最後ではスイッチバックが取り上げられていました。SLが全盛だった頃は、蒸気機関車のパワー不足を補う目的のスイッチバックが設置されていましたが、近年では車両能力の向上により、スイッチバックにしなくても良くなりつつあるそうです。


本書で初めて知りましたが、立山砂防工事専用軌道には最大18段のスイッチバックがあるそうです。数段程度のスイッチバックでは足りないほどの急斜面を登るということなのでしょうか。まるでいろは坂みたいです。


この軌道は関係者専用なので、18段スイッチバックを体験することは出来ません。何か体験乗車のような機会があれば、ぜひ乗ってみたいと思います。

2022-09-12

特急北斗

北海道新幹線が札幌まで延伸すると並行在来線となる函館本線は、ほとんどが廃止される風向きになっています。このままでは貨物輸送が分断されてしまいますが、朝日新聞が「函館線を貨物線として維持、国が協議へ 北海道やJRと 旅客と分離」という記事を掲載しました。今後の動向を見守るしかありませんが、少なくとも鉄路が消えることは回避されるかもしれません。鉄道による貨物輸送が継続されるとしても、長万部以南の並行在来線が廃止されるのは、少なくとも現時点では決定ではありませんが、ほぼ決定に近い状況だろうと思います。

 

2022年現在、函館と札幌の間には特急北斗が運行されています。長万部からは室蘭本線を経由するため、北海道新幹線が札幌まで開業し、並行在来線となる新函館北斗から長万部が廃止されたとしても、長万部と札幌の間を運行することは可能です。しかし運行されるのでしょうか。

 

特急北斗の役割は、いろいろあるかと思いますが、函館と札幌の間を結ぶことでしょう。新幹線が札幌まで延伸されたら、その役割は新幹線に譲ることになります。そうなると特急北斗が長万部と札幌の間を結ぶ特急として継続されるのかが問題になります。沿線には、洞爺とか、東室蘭や苫小牧のような主要駅がありますが、そのために特急を走らせる必要があるのでしょうか。洞爺なら長万部から普通で40分くらいですから、長万部を発着する普通列車を増発すれば良いような気がします。苫小牧なら南千歳から普通で20分くらいなので、エアポート快速と連絡する普通列車を増発すれば間に合いそうな気がします。

 

北海道新幹線が札幌まで延伸開業すると、小樽から長万部経由で函館までの観光ルートは大きく変わることになります。今はCOVID-19により鉄道利用者が減っていると思いますが、それ以前には青春18きっぷなどを利用する乗客や、北海道観光をしようとしている外国人旅行客を多く目にしました。そういう光景は見られなくなると思います。

2022-09-10

TW5でグラフ構造を表現するプラグイン

TW5を使ってグラフ構造を表現できるプラグインを探しています。グラフ構造といっても幅広いのですが、Family Treeのような構造を表すことができると良いのですが、直接的に表現できなくても、何とか工夫すればできるなら、それでも良いのです。

 

ちょっと探してみると、次のようなプラグインを見つけました。

 
 TiddlyMapは、グラフ構造を表現する事が本来の目的ではありませんが、使い方次第ではFamily Treeなども表現できるような気がします。しかしFamily Treeが大規模で複雑になっても使用に耐えるのかどうか心配です。

 

Tidgraphは、tiddlerに割り当てたタグに依ってグラフ構造が作られていくようなので、これを使うと思い描いていたようなことができそうです。しかし大規模で複雑な構造になっても問題が生じないか気になります。


tw5vizは、graphviz記法で表現したグラフを描画します。graphvizの全機能がTW5で再現できるのかどうかわかりませんが、もし再現できるのであれば、複雑な構造でも大丈夫そうです。


どれが良いのか、それとも他に何かあるのか、ともかく使ってみて、合うものを探そうと思います。

STARS COFFEE

The Japan Times Alphaの2022年9月2日号に「After Starbucks exit from Russia, a new coffee shop opens with a familiar look」という記事がありました。ロシアからスターバックスが撤退したので、その跡を元店員たちが新しいコーヒーチェーン店として再オープンしたとの事ですが、そっくりですね。

 

珈琲文化に愛着があるのなら、もっとロシア文化を前面に出してもよいと思いますが、そういうわけではないようです。スターバックス文化に愛着があるのかもしれませんが、少なくともスターバックスではないので、スターバックスっぽいのであればよいという事なのかもしれません。

 

スターバックス以外にも、マクドナルドやユニクロなどもロシアから撤退しているようです。撤退するたびに、このような似ているブランドが登場していくのでしょうか。

これから開業する新幹線と並行する在来線

Webでみかけた「函館線「新函館北斗~小樽廃止」に現実味。北海道の在来線は途切れてしまうのか」によれば、北海道新幹線の札幌延伸により、並行在来線となる函館本線の新函館北斗から小樽まではバス転換される気配が濃厚のようです。

 

新幹線停車駅の新函館北斗と函館の間は、鉄道を残すことになりそうですが、JRからは切り離すようです。木古内から五稜郭までは道南いさりび鉄道が運行していますから、新函館北斗~函館も同社の運行で良いのではないでしょうか。このような状況は確定しているわけではないので、今後どうなるか分かりませんが、少なくとも長万部~小樽間の並行在来線問題を経緯を見ている限りでは楽観できません。

 

仮に函館付近が全て道南いさりび鉄道になるとすれば、函館駅はJRの駅ではなくなることになります。これは驚くべき事態です。東北新幹線開業において、青森~盛岡は青い森鉄道IGRいわて銀河鉄道に変わりました。しかし青森駅も盛岡駅もJR東日本の他の路線が乗り入れているため、JRの駅であることは変わりません。ところが函館駅は、他にJR北海道の路線が無いので、道南いさりび鉄道の単独駅になるでしょう。さらに、函館駅から五稜郭駅の間には広大な車両基地などが拡がっていますが、これらは不要になると思います。また函館駅のホームは4面7線ありますが、これらも要らなくなるでしょう。 

 

また、仮にJR東日本がクルーズトレインを北海道に乗り入れたとしても、函館までは来られるかもしれませんが、札幌以遠には行けなくなります。それは観光面でもデメリットになるでしょう。


ここまで考えてきたのは、旅客線としての鉄道ですが、貨物線としての鉄道も考えなけれなりません。長万部~小樽の並行在来線問題では、貨物は室蘭本線を通るため問題になりませんでした。しかし函館~長万部では貨物線としての機能も考えなければなりませんが、それは誰が考えるのでしょうか。仮に旅客線も貨物線も全て無くなるのであれば、物流としての鉄道の役割は大きな転換点を迎えると思います。JR貨物としても看過できないのではないでしょうか。

 

全国に新幹線網を作ろうという計画をたてた段階(整備新幹線決定から41年 未だ見えぬ全線完成)では、並行する在来線を捨てようとは考えていなかったはずです。それが今日のように新幹線があれば在来線は要らないという社会状況に変わってきている中で、それでもやはり新幹線にすることが最適なのか考えなければならないと思います。

平家物語 Blu-ray box

2022年1月から3月まで放送されたテレビアニメの「平家物語」のblu-ray boxが発売されたので、購入しました。当初の予定ではGW連休頃に発売される筈でしたが、延期され、8月末日発売になりました。発売されてから購入したのではなく、事前に予約しておきましたが、受け取ったのは9月になってからです。


いろいろな映像特典やブックレット、CDなども入っています。税込み3万円弱というのは、ちょっと勇気がいる値段でしたが、現物を手にして満足しています。

 

まだ聴いていませんが、琵琶平曲集CDが付いているのは素晴らしい事です。平家物語と言えば琵琶法師の語りが強く連想されます。琵琶の語りを聴きながら、頭の中で映像を組み立てるのも愉しいかと思っています。