COVID-19の影響により、対面を避け、オンラインで行われる活動が多くなりました。ZOOMを使うか否かは別にして、学校の授業でも、会社の会議でも、さらには宴会までもがオンラインで開催されるようになっています。忘年会や新年会もオンラインで開催された事例も少なくないのではないかと思います。
オンライン忘年会は、従来の対面の忘年会とは違うのではないかと思うのです。どう違うかということを端的に示しているのが「情シスのタマちゃん2」の「リモート新年会」(第76回)です。3コマ目に「でも大人数過ぎてちょっと会話がし辛いですねぇ・・・」というセリフがでてきますが、まさにその通りなのです。
従来の宴会(新年会でも、忘年会でも、歓送迎会でも)であれば、どんなに参加人数が多くても、自分の座っている席の周囲の人と会話をするしかないのです。他の人と話がしたければ、席を移動することになるのです。ところがオンライン宴会だと、出席者全員がフラットに画面に並んでしまうので、まとまりがないというか、これでは会話にならないのではないでしょうか。
このあたりの事情を的確に表現した文章をみつけました。岩波新書から出ている『英語独習法』の7頁には以下のような記述があります。
人は外界にあるモノや出来事を全部(seeの意味で)「見ている」わけではない。無意識に情報を選んで、選んだ情報だけを見るのが普通である。
これは混雑している電車などの中でも隣にいる知人と普通に会話ができたり、 広大なアトラクション施設でも親なら自分の子供の声は瞬時に聞き分けるなどの事例からも、わかります。人間は周囲の刺激(音声でも映像でも)を同等に受容しているわけではなく、自己の関心に応じて(無意識に)取捨選択しているはずです。
オンラインで宴会ができることは、それはそれで凄いことです。しかし現実世界の代替となるには、原始的すぎます。リアルな宴会と同じレベルに達するための研究活動がおこなわれているのか、そのような関心を持っている研究者(もしくは研究機関)が存在するのか知りませんが、いずれはそのようなことができる時代が来るのかもしれません。