こんなことで議論して紛糾しているのは日本人だけかと思ったら、日本以外でも同様の問題を抱えていることを、Webで公開されているニューズウィーク日本版の記事「航空会社のリクライニング制限は、乗客の敵か味方か」(原題「Airlines Eliminating Reclining Seats」、著者:ダニエル・アベリー、公開日時:2019/4/17-16:30)で知りました。
日本で紛糾する議論を見ていると、「リクライニング・シートを倒す際には後ろの乗客に配慮する(→このため、倒す前にひと声かけたり、倒す角度を控えめとする)」という主張と、「リクライニング機能の行使は権利であり他者から制約を受ける筋合いはない(→このため、倒す前に声をかける必要は無いし、倒す角度は自分の必要な角度で何の問題もない)」という主張が、火花を散らしています。このような論争には辟易する面もありますが、だからと言って「リクライニング機能は使わないのが、乗客のマナーである」という意見が出てきたりすると、それは違うんじゃないかと思います。
上述した記事によると、格安航空会社のなかにはリクライニング機能を無くした座席を採用するところがあるそうです。日本でも2019年に導入される予定があるようで、「ピーチ、レカロのリクライニング済み新シート 19年導入」(2018/4/12-17:45)という記事がありました。飛行機内でリクライニング・シートを倒す際の乗客トラブルは、どうやら海外でも日常的なのでしょう。手っ取り早い解決方法として、リクライニング機能を無くしてしまえば、トラブルは避けられるということなのでしょう。
記事では、「ジョニージェット・ドット・コムを運営する旅行エキスパート、ジョニー・ディスカラ」が次のように語っています。
リクライニングする前に、振り返って後ろに座っている人に合図をするのが作法だ。後ろの人がドリンクを飲んでいたり、ノートパソコンを出したりしていないか、あるいは眠っているかどうかを確認する。飛行機に乗っているときは、誰に対しても心の底から丁寧に振る舞わなければ何が起こるかわからないここでいうところの「合図をする」というのが、日本風の表現なら「一声かける」ということだと思っています。それが作法だという彼の主張に賛同します。無言で唐突に座席を倒すのは避けるべきでしょう。しかし、リクライニング機能を利用しようとしている乗客が後ろの乗客に「リクライニング・シートを倒す許しを乞うている」わけではないし、その後ろの乗客も「リクライニング・シートを利用しようとしている目の前の乗客に許しを与えている」わけでもないとは、思います。
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