ここで注意したいのは次のような表現を選択するときの 心理的な動向です。
- 北海道というところがあります。/北海道では××です。
- 北海道には小樽市というところがあります。/北海道小樽市では××です。
- 北海道小樽市には文庫歌というところがあります。/北海道小樽市文庫歌では××です。
手持ちの国語辞書(『明鏡国語辞典』携帯版)を引いてみましたが「というところ」という表現を説明している箇所は見つけられませんでした。見出し語「い・う【言う】」では語義6の中で「(ア)《「と―」の形で》下の語で上の語の内容を説明するのに使う。」とありました。「文庫歌というところ」の場合なら「ところ」という下の語で「文庫村」という上の語を説明していると考えられるということになります。ここにおける語義の説明では心理的側面については触れていません。
以上長々と「というところ」という表現に拘ってきたのは、この表現には会話をおこなう間での共通認識を明らかにするリトマス試験紙となるのではないかと思ったからです。会話に登場する地名に対して「というところ」と表現する人は、その地名を含む周辺に対して馴染みがないことを言外に示していると言えないでしょうか。
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