文書作成や表計算などをおこなうならMicrosoft Officeを利用することが多いと思います。OSが必ずしもMicrosoft Windowsではないし、オフィススイートが必ずしもMicrosoft Officeではないと思いますが、デファクト・スタンダードと言えるのは間違いないでしょう。
ウィキペディアで「オフィススイート」を調べると、Kingsoft Office、JUST Officeなど数多くのオフィススイートが出てきます。有料販売されている製品の他にも無料で使えるLibreOfficeやApache OpenOfficeなどもあります。無料で使えるこれらのオフィススイートは有料のMicrosoft Officeの代替として着目され、その存在を認知されることになるようです。つまり「無料で使えるMicrosoft Office」という認識を持たれるようです。
しかしこの認識で良いのでしょうか。LibreOfficeを使えばMicrosoft Officeで作成したファイルを読めますが、書式が完全に再現されるとも限りません。キー操作がMicrosoft Officeの場合と似ていますが、全く同じという訳でもありません。そもそもLibreOfficeの開発目標は「Microsoft Officeの完全互換を目指す」ことではないはずです。
このことを理解するとLibreOfficeの評価が変わるのではないでしょうか。「無料で使えるMicrosoft Office」だと考えていれば「LibreOfficeなんか使えない」と思うかもしれません。しかし「LibreOfficeはLibreOfficeであり、Microsoft Officeではない」と分かれば「LibreOfficeは使え」ます。
一般に誰かに何かを説明する場合、その相手が既知の事柄をもとにして説明することがあります。そうすると「LibreOfficeってMicrosoft Officeみたいなもの」という説明をすることになりますが、それは相手に先入観を与えることになります。相手がMicrosoft Officeの頻繁なバージョンアップで度重なる出費に困っていれば「無料で使えるMicrosoft Office」という期待を持つかもしれません。
文章を作成するためにMicrosoft Officeを利用するとしても、それが個人的に使いやすい道具なのであれば、そうすれば良いでしょう。他人からとやかく言われる筋合いはありません。しかしその文書を他者と交換するのではあれば話は変わってきます。WYSIWYG形式のインターフェイスを持つMicrosoft Officeや(たとえ無料であったとしても)LibreOfficeでは、互いに同一製品の同じバージョンを用いないと安心して情報交換をおこなえない恐れがあります。他者との情報交換において有料ソフトウェアの使用が暗黙の内に仮定されるのは、望ましい傾向ではないと思うのです。
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