よく本を読む人が、ついには作家になったとします。もっとも作家と言っても、次々と新作を発表する人もいれば、ほとんど発表しない人もいるでしょう。それを全て網羅して議論はできませんから、継続的に作品を出し続けている人を念頭に考えたいと思います。
作家になるくらいの人は、例え作家にならなかったとしても、本を読み続ける習慣を持っているはずです。本を全く読まないのに作家になるというのはナンセンスでしょう。それはともかく、本を読むとしても、全てを買っている訳ではないかもしれません。図書館で借りることもあるかもしれません。また購入した本を、全て手元に残しておくとも限りません。内心は残しておきたいと思っていても、所蔵スペースの関係で、無制限に残しておける訳でもないでしょう。
趣味として書籍と向き合っている限りは、手元に残している蔵書が多くても少なくても、どちらでも構わないと思います。しかし職業として作家になってしまうと、そういう訳にもいかないだろうと思います。新しい作品を執筆するためには、いろいろと関連資料を収集する必要があるでしょうし、全てとは言いませんが、できるだけ多くの資料を手元に置いておく必要があるでしょう。作家人生が長くなれば、そのような資料も膨大になってくると思います。
例えば司馬遼太郎は、執筆にあたり資料を膨大に収集したと言われています。今でも司馬遼太郎記念館に行くと、ちょっとした図書館のような膨大な資料が集められた書籍群が見られます。他の有名な作家がどうだったのか不明ですが、それなりに大量の書籍に囲まれているんではないかと思います。
ここでちょっと疑問なのが、そのような書籍は、どのような状態で管理されているんだろうかということです。関心のある書籍を次々に手元に残していたら、あっという間に本の山ができてしまいます。インテリア雑誌のグラビアを飾るような、綺麗に整理された状態にはならないような気がするのですが、実際のところどうなんでしょうか。
本棚に書籍を並べるというのが基本なのかもしれません。しかし書籍の大きさは様々なので、関連のある書籍を集めようとすると、本棚のスペースを有効に利用できません。反対にスペースを有効に利用しようとすると、単に書籍の大きさがおなじだと言うだけで、関連性は何もない書籍をまとめて置くことになり、そうするしかないのかもしれませんが、使いにくいと思います。
作家に限らず、大量の書籍の整理に頭を悩ましている人は少なくないと思います。その解決方法は、個人個人の試行錯誤の結果だと思います。自分の蔵書をどうするのかは、結局は自分自身の問題なのではありますが、他の人がどうしているのかという、苦労話やテクニカルな方法論も聞いてみたい気がします。