2025年6月10日にJR東日本が「東日本のんびり旅パス」を発表しました。最近JRから発表されるのは、割引切符や企画切符の終了とか廃止などが多かったので、このような新たな切符が発表されるのは嬉しいことです。
この切符はJR東日本のエリア内に限定されますが、連続する3日間は普通列車乗り放題なので、「青春18きっぷ」の地域限定版のように思えます。3日間用の青春18きっぷが10,000円なのに対して、こちらのキップは9,000円です。JR東日本以外に行かないのであれば、3日間用の青春18きっぷを購入する必要はなくなったと言えるでしょう。
しかも利用期間は、2025年7月1日~同年12月26日(ただし8月10日~同月19日を除く)と長くとられています。今夏の青春18きっぷの利用期間は、2025年7月19日~同年9月9日ですから、まるで勝負になりません。ますます青春18きっぷを買う必要がなくなります。
一方でJR東日本には、青春18きっぷと似ている「北海道&東日本パス」というものがあります。この切符は、JR東日本の他にJR北海道も利用できますし、青春18きっぷとは異なり、青い森鉄道やIGRいわて銀河鉄道も利用できます。このため首都圏から青森に向かうために日本海側を経由する必要がないのもメリットです。しかも値上げされたとは言え、11,530円ですから、5日間用青春18きっぷの12,050円よりも安価です。それでいて連続する7日間も有効なので、JR東日本とJR北海道のエリア内を旅するのであれば、5日間用の青春18きっぷを買う理由が見当たりません。青春18きっぷが必要となるのは、JR東海以西を利用したい場合に限られるでしょう。
2024年冬から青春18きっぷの制度が大きく変更されて、率直に言って、使いにくくなりました。その一方でJR東日本には「東日本のんびり旅パス」や「北海道&東日本パス」があるので、「青春18きっぷ」の出番は少なく(全く?)なりそうです。
しかしながら同様の企画切符がJR各社から出ているわけでもありません。JR東日本には「北海道&東日本パス」がありますが、JR西日本やJR東海には「東日本&東海&西日本パス」のような企画切符はありません。元々青春18きっぷは国鉄時代に生まれたものですが、国鉄がJR各社に分割されたことで、北海道から九州までのJRを通して利用できる「青春18きっぷ」をJR各社が忌避しようとしているように見えます。新幹線とかクルーズトレインのような高級路線にはJRも熱心のようですが、全国の鉄道網を活かそうとする気はなさそうなのが残念です。