2018-12-27

万葉集の東歌とオリエンタリズム

放送大学教養学部で「『古事記』と『万葉集』('15)」を受講しています。年が明けると単位認定試験が行われます。古事記にしろ万葉集にしろ、学校で学ぶことが多いし、ヤマトタケルの物語など有名な話は子供向けの書籍にもなっていますから、全く知らないわけではありません。しかし通読したことがなく、断片的な知識に留まっています。これを受講したことが、古典的名作を深く知るためのキッカケになれば良いと考えています。

今年最後の講義は「第13章 東歌と防人歌」でした。万葉集の後に編纂された和歌集との大きな違いは、朝廷の名立たる歌人ではない、東国とか防人のような都以外の歌謡が採録されていることだと思います。印刷教材には「当時の東国民謡をそのまま採録したものとは言い難い」(219頁)とあります。東歌や防人歌が『万葉集』に含まれているのは、時代を踏まえた意味があり、単なる「一大国民歌集」(215頁)という訳ではないとのことです。

このような事情があったとしても、『万葉集』にある東歌には「その異域性を一種のエキゾチシズムとして感じさせる意味」(220頁)があり、E・サイードの主張する『オリエンタリズム』と通じる意識があったと述べています。

ここでサイードの『オリエンタリズム』に言及された事に驚きました。NHKで放映されている「100分 de 名著」の特番として「100分 de メディア論」が放送されましたが、そこで中島岳志氏が取り上げた『イスラム報道』(サイード)の一環で『オリエンタリズム』も取り上げられていました。これらの書籍を読んだことは無かった(存在も知らなかった)ので、読んでみようかと思っていたところでした。

一見すると全く異なる分野(古典文学とメディア論)なのに、同じ書籍が参照されていることで、両者が繋がっていることを知りました。多方面に興味関心を持っていると、どこかで繋がっていくのだろうと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿