2016/07/03

韓国語の敬称としての「-님」

小学館『朝鮮語辞典』(2001年9月10日初版11刷発行)では、「-님」の語義として「《人名・官名・職名などや、一部の名詞に付いて》尊敬を表わす:・・・さん、様、殿」とあります。役職のある人などを呼ぶ場合に、日本語では「○○社長」とか「××先生」とするのが普通ですが、韓国語では「○○사장님」とか「××선생님」とするそうです。

日本では役職をつけるだけで敬意を示すことになるので、よほど特別な感情を持っているのでない限り「様」を追加することはないと思います。また現代日本語の敬語の考え方では二重敬語は不可とされ、役職名に「様」をつける必要はないと教えられています。

韓国では役職に「-님」をつけるのは当然とされるようで、むしろ日本風に「○○사장」のように「-님」を抜くと(大袈裟に言えば)場が凍り付くそうです。ただし韓国のネイティブ感覚としては、「-님」が必要な役職と不要な役職があるのかもしれませんし、「-님」をつけなくても良い状況とつけなければいけない状況があるのかもしれませんが、非ネイティブである日本人にはわからない領域です。

昭和初期の日本語の言語感覚の一例として「のらくろ」(田河水泡) を参照すると、「連隊長殿」とか「少尉殿」のように、当たり前のように職名や階級名に「殿」がついている事が確認できます。もしかすると日本語においても、かつては役職に「様」などをつけるのは当然とされていた時代があったのかもしれません。

歴史的経緯はともかく、日本と韓国における「様」と「님」の有無の必要性について、文化的背景を理解した上で相手側の発言を理解したいと僕は考えています。そうでないと、一方的に自国の習慣を絶対視し、相手側の文化を無視した独断をおこなうことになってしまうでしょう。

外国の言葉を学ぶなら、文法規則を表面的に記憶するだけではなく、文化的背景も学ぶようにしたいと思います。

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