2019-06-02

「~がなかったか」対「~があったか」

ニュースを聞いていると、「~がなかったか」という表現をよく耳にしますが、これは意図的に選択されているのだろうかと疑問に思うことがあります。

例えばNHKのWebサイトには「 電車逆走事故 14人重軽傷 “無人運転”に不具合か解明へ」(2019年6月2日 5時11分)という報道の中に次のような表現があります。
警察は無人運転のシステムに不具合がなかったかなどを調べて事故の原因を解明することにしています。
逆走事故が現実に起きているわけですから、不具合が「なかったか」などを調べるのではなくて、不具合が「あったか」などを調べるのではないのかと疑問に思います。もちろん捜査にあたって予断を持つことなく調べることは必要だと思いますが、不具合が「なかったか」であっても、不具合が「あったか」であっても、どちらかの方向に「予断を持っている」のは同じことではないかと感じます。

このような問題意識をもって報道に接していると、「~があったかを調べている」という表現を耳にすることは殆どない印象があります。これが事故ではなく、何らかの事件であり、関与を疑われた人物についての報道であれば、推定無罪の原則からも、「~がなかったを調べている」という表現が使われたとしても、わからないではありません。

もしかすると報道原稿を書く立場にとっては、「~がなかったか」と「~があったか」とは同等であり違いは無いということなのでしょうか。もしそうであれば驚くべき事です。表現の選択にあたり、厳密には意味の異なる表現でありながら、実質的な意味に違いがないということになるからです。

0 件のコメント:

コメントを投稿