Webを見ていたら『セキュリティはなぜやぶられたのか』を知りました。近所の図書館にあったので、借りて読んでみました。何か(セキュリティとか)に直ちに役立つハウツー本ではないと思いますが、自分なりの物の見方を形作るうえで有効な書籍だと感じました。
「セキュリティ」というと、コンピュータ・セキュリティとか(ウィルス対策ソフト絡みの話題がよく出てきます)、ホーム・セキュリティ(民間会社との契約を結んでいることもあるでしょう)などが思いつきますが、もっと広い概念です。ですからコンピュータを念頭においたセキュリティ問題を意識して読むと、期待外れと感じるでしょう。
近年は社会の中でコンピュータの果たす役割が増大しているので、「セキュリティ」というとコンピュータ・セキュリティ、「システム」というとコンピュータ・システム、「プロジェクト」というコンピュータ・システムを開発するプロジェクトと考えがちな風潮があります。しかしセキュリティにしろ、システムやプロジェクトにしろ、いずれにしても「コンピュータ」に限定されるわけではなく、もっと大きな視点から全体を見た上で、その一部に「コンピュータ」が果たしている役割もあると考えるべきでしょう。
本書は、そういう意味での「セキュリティ」について論じています。何か守りたいものがあって、それを守る方法があるとき、それで本当に守れているのかということを、突き詰めて論じます。例えば財宝を金庫に入れておくとして、その金庫にに扉がついていなければ、盗まれる心配はありません。それでは財宝を利用することも出来ないので、扉をつけざるを得ませんが、そうすると盗まれないわけにはいきません。極論なのかもしませんが、その点をどう考えるのかということを、考えるきっかけとなる書籍だと思います。
類似したタイトルの書籍は他にもたくさん出版されていると思いますが、パラパラっとページをめくると1時間もしないうちに読めてしまうような「お手軽」な書籍も少なくありません。それに比べると、本書は読むのに時間がかかりますが、得るものも少なくないと思います。
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