2019-03-30

第三の反論

ナショナルジオグラフィックチャンネルで先日まで放送されていた「マーズ 火星移住計画 2」は、フィクションとドキュメンタリーを重ね合わせた作品でした。とても面白い番組でしたが、番組中にジャレド・ダイアモンドが登場していたのを目にし、彼の有名な作品を前々から読んでみようと思っていながら先延ばしにしていたので、図書館で借りて読んでみることにしました。

ジャレド・ダイアモンドというと『銃・病原菌・鉄』を思い出しますが、『文明崩壊』も図書館にありました。どちらも読んでみようと思っていますが、どちらを先にするか迷ったので、まず両者の上巻を借りてみて、読んだ感じで決めることにしました。その結果、まず『文明崩壊』を先に読むことにしました。

『文明崩壊』 では、その原因を文化人類学的な見地から考察しているので、もっと違うアプローチを期待していた読者には迂遠に感じるかもしれません。

「第2部 過去の社会」の「第2章 イースターに黄昏が訪れるとき」では、イースター島の「環境被害の一因は島民自身にあるという説に対し、具体的な反論もしくは別意見がこれまで三件提起されている」と記されています。その3番目には次のような一節があります。
わたしはよくこんなふうに自問した。最後のヤシの木を切り倒したイースター島民は、その木を切りながら何と言っただろうか、と。現代の伐採業者のように、「これは仕事なんだ。木じゃないんだ」?あるいは、「テクノロジーが問題を解決してくれるから、心配はいらない。木にかわるものが見つかるさ」?あるいは、「もうこの島には木がないと証明されたわけじゃないんだから、もっと探してみないと。伐採を禁止するなんて早計だ。悲観論に踊らされているんだよ」?不用意に環境を損なってしまった社会については、例外なく、同じような疑問が取り沙汰される。

現代社会でも環境問題は世界中に幾らでもあります。その最たるものが「気候変動(地球温暖化)」でしょう。環境問題に関する個人の影響力は無きに等しいでしょう。誰か特定の一個人が地球全体の環境に一撃を与えるというようなことは、まずありません。だからこそ、多くの人は、環境問題は自分とは無関係だと思っています。または自分の行為が問題の一因だとは考えていません。先に引用したイースター島民が言ったこと(別に本当に言ったわけではないでしょうが)は、今日の我々が誰しも思っていることです。

環境問題が悪化して二進も三進もいかなくなった時、 そのときどんな光景が待っているのか、誰も想像できていないだろうと思います。多くの人が「自分には関係ないから、考えない。考えるのは、考えなくちゃいけない人の責任だ(それは自分じゃない)。その人がなんとかするだろう。」と思っているのかもしれませんが、それで済むとは思えません。

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