自分自身の中ではっきりと考えがまとまっている訳ではないのですが、断片的であっても書いてみることで自分の考えに道筋をつけていきたいと思っています。
絵画が何を描いているのか、ということを、美術館で作品の前で向かい合ったときに考えます。絵画作品と言っても、日本画も洋画もありますし、宗教画、人物画、風景画、静物画、抽象画など、ありとあらゆるジャンルがありますから、一言で語れるようなものではないと思います。今後も折に触れて考えていきたいと思いますが、とりあえず抽象画ではない具象的な西洋画を素材とします。西洋画といっても画風が日本画ではないという意味であって、作者が日本人であっても構いません。
聖書や神話を題材とした宗教画であれば、その構図は現実に見た何かを表しているわけではないのは自明でしょう。しかし時代が下って、人物画、風景画、静物画となるとどうでしょうか。
特に人物画であれば、歴史的に著名な人物であれば、それがその人物であることは間違いない訳です。もっとも写真ではないので、描かれているのが本人そっくりかどうかは、作者の技量に依存するところはありますが、おそらく本人に似せて描いていると信じるしかありません。写真が無かった時代の本人の姿を知るすべはないからです。
しかし、ここで、ふと疑問に思うのです。写真と違って、絵画は、正確な描写(をしているつもりかもしれませんが) よりも、意図的か意図せずかは別にして、作者による省略や誇張が避けられないはずです。作者が意図的に絵画の中に加えた表現は、鑑賞者が理解することができるのでしょうか。
鑑賞者が理解できるかどうかという問題は、容易に解決できるとは思いませんが、考えても仕方がない問題ではないと思っています。きちんと答えを出すには、作者の意図を解き明かす研究が必要となるでしょうから、一朝一夕に分からないかもしれませんが、それはそれで良いのです。考えていく姿勢と、そのために必要な手掛かりが欲しいのです。
絵画作品そのものを解説する書籍は数多ありますが、個々の作品の解釈を超えた抽象的な理解の参考になる書籍は少ないようです。絵画作品を見つめる眼差しを学ぶ書籍(多少は手元にありますが)を見つけて、美術館で目にする作品をより深く自分のものにしたいと願っているのです。
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