大阪堂島にアリラン亭という韓国料理のお店があります。お店の関係者は韓国出身者が多いようです。お昼のランチメニューには「ユッケジャン鍋焼きうどん 」(950円)というものがあり、僕は必ずこれを注文します。かなり辛い料理で、以前は食べ終わると頭の中から汗が噴き出しているという感じでしたが、最近はそうでもないような気がします。日本人向けに味をマイルドに変えたのか、僕の味覚が辛さに慣れたのか、答えはわかりません。
韓国では食事に金属製の箸とスプーンを使うそうです。このお店でも韓国式のスプーンはありますが、お箸は日本風の割り箸です。
また、このメニューにはご飯がついてきますが、日本式のお茶碗ではなく、韓国で使う金属製の蓋つきの容器で出てきます。
さて問題はここからです。この「ユッケジャン鍋焼きうどん」をどのように食べたらよいのでしょうか。もちろん食べたいように食べれば良いというのは、その通りです。周りのお客さん(当然ほとんどが日本人)の様子を観察していると、日本の食習慣に従い、ご飯のお茶碗を持つような感じで、ご飯とスープを交互に口に運んで食べているようです。
これに対して別の方法があるのではないか、と思って僕は食べています。そしてそれこそが韓国における普通の食べ方ではないのか、とも思っています。もう何年も前にピースボートに乗船したとき、船内で親しくしていた韓国の方に教えてもらった記憶があります。その後ソウルに観光旅行で行ってきたときも同じような食べ方をしていたように思います。
実際にどうしているかというと、注文した料理が運ばれてきたら直ぐに、ご飯を全てユッケジャンの中に入れてしまい、よく混ぜて食べるという方法です。食べるときにはスプーンを主に使うので、お箸の出番はあまりありません。
こうい食べ方を日本では品がないとされていて、実行に移すのは勇気がいります。例えば吉野家で牛丼と味噌汁を注文し、丼に味噌汁を入れて混ぜて食べたら、それは無いだろうと僕も思います。しかし今から食べようとしているのは韓国料理なのです。韓国料理には韓国風の食べ方があるはずです。
この食べ方は間違っていないだろうと思っていますが、若干の後ろめたさも同時に感じていました。すると、この窮状を救ってくれる救世主があらわれたのです。大阪の千里にある国立民族学博物館で『韓国食文化読本』というのを見つけたので買ってみました。同書の19ページには「クッパプ(국밥)・・・汁(湯)に入れて食べる」という項目があり、上述した食べ方は韓国ではおかしくないことが書かれていました。
これで安心して今後も「ユッケジャン鍋焼きうどん」を食べることができそうです。
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