ネット時代の今日ではあまり見かけないかもしれませんが、雑誌などに読者投稿欄があった当時、本名ではなく、現実に呼ばれているわけでもなさそうな「ネーム」が使われることが多かったように思います。雑誌ではなく、視聴者参加型のラジオ番組などでは「ラジオネーム」として、やはり同じような「ネーム」が使われています。場合によっては「匿名希望」のようになることもありました。
2022年7月号の「鉄道ピクトリアル」が通巻1000号に達したので、記念号として、特集記事が組まれていました(本来の特集は「鉄道150年と東海道線」です)。そのひとつである「「鉄道現場その時」を伝えた読者の便り―半世紀前の読者短信とトピックフォトから―」(岩成政和)は、次のような記述がありました。
読者投稿欄では今も昔も都市名と氏名のみが掲載される(注1)。
注1:本誌読者短信欄では当初、当時の文芸誌のスタイルや戦前の趣味誌の流れを汲み、誌上筆名を認めていた。したがってこの時期までは、たとえば「モハ○○○○生」と名乗る投稿者も存在した。しかし1966年1月号のTTKだよりで、記事の正確を期すためとして筆名(ペンネーム)を不採用と定め告知したため、以後はなくなった。
この記述は、とても驚きでした。21世紀の今日におけるネット社会でみかける「不思議な」ハンドルネームや、ラジオネーム、さらには雑誌などのペンネームは、「戦前の趣味誌」に遡る長い歴史があったとは、思いもよりませんでした。
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