研究会「職場の人権」の第98号(2017年3月)に掲載されている「接客販売業の働き方はどうなっているか―少人数化と非接客労働の効率化がもたらす過重労働―」を読みました。報告の中では具体名を出さずに「A社」と表現されています。しかし報告者が自ら「A社がどこの会社か想像がついている方を前提にお話しするんですけど」と語っているように、伏せ字になっていたとしても、労働問題を扱う研究者の間では自明の会社のようです。
この報告を読むことで、(矛盾した表現ですが)非接客的な接客業の実態が見えてきた気がします。おそらくA社に限らず同様の労働形態を採用している「接客業」は少なくないのではないでしょうか。僕が利用した店舗(それがA社なのかどうか不明ですが)でも、僕がイメージする(または期待する)接客業のあり方と乖離した接客をされて違和感を感じた経験があります。
聞くところによると「日本の接客応対は過剰だ」という言説が流布されているようです。だから世界に合わせて簡素化すべきだと主張されているみたいです。
本当にそれで良いのでしょうか。そもそも日本の接客応対は過剰なのでしょうか。そして世界の接客は簡素なのですか。だいたい世界って何処を指しているんでしょう。過剰な接客が本当にあるのか、それを簡素にすべきなのか現状を維持すべきなのか、社会の合意はまったくとれていない気がします。一部の大きな声に引きずられている気がしなくもありません。
このままいくと未来の店舗では、店員さんは一掃され、商品の会計は自動精算機が並んでいるだけになっているかもしれません。そして万引き防止のために制服を着た警備員が店内を巡回しているだけになってしまうかもしれません。
そんな未来が来てほしいとは、あまり思いません。
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