2025-06-04

ワンマン運転

JR東日本が2024年11月6日付のJR東日本ニュースで「首都圏主要線区でワンマン運転を実施します」という発表をしました。鉄道におけるワンマン運転というのは、これまでは地方ローカル線などで1~2両編成で運転される場合、車掌が乗務していなくても、ドア開閉などの安全確認を全て運転士が担っています。今後は首都圏でもワンマン運転を始めていこうということですが、首都圏を走るのは10両編成くらいになるし、乗降客も多いはずなので、確実に安全確認をできるような取り組みを実施することになるようです。

 

ふと考えてみると、地方ローカル線であっても昔々は車掌が乗務するのが基本だったはずで、ワンマン運転が何時頃から始まったのか記憶にありません。もっともワンマン運転というと、むしろ路線バスを思い出します。過去の路線バスでは車掌が乗務していましたが、次第にワンマンバスが当たり前になってきました。むしろ今日では車掌が乗務する路線バスは存在しないと思います。

 

さて「ワンマン」という語を辞書で引いてみると、 手元にある『明鏡国語辞典 携帯版』(初版第三刷 2005年4月1日)には次のように書かれています。

  1. 人の意見・批判などには耳を貸さないで、自分の思いどおりに支配する人。
  2. ひとりの、ひとりだけの。 

 上述した「ワンマン運転」や「ワンマンバス」というのは、語義の2番目の方です。語義の1番目にある方が「ワンマン」の主たる定義で、これは「ワンマン社長」のような使い方になります。

 

英語にも「one-man」というものがあるようですが、その意味は「一人だけの[で行なう] 」であり、前述した語義の2番目に相当します。しかも英語には、前述した語義の1番目の意味はないそうです。そうなると、「ワンマン」の日本語の第1番目の語義は、英語と見せかけていますが、純粋な日本語といえるでしょう。

 

「ワンマン運転」とか「ワンマンバス」というのは、運転士だけしかいない(車掌が乗務していない)ということであって、運転士が「人の意見・批判などには耳を貸さないで、自分の思い通りに支配する人」という役割ではありません。英語の本来の意味にも合致している使い方です。これに対して「ワンマン社長」のような使い方は、本来の英語にはない語義で、いわゆるJapanese Englishになると思います。どうして「ワンマン」に対して「ワンマン社長」のような使い方が出現したのか、興味があります。 

0 件のコメント:

コメントを投稿