朝日新書から出ている『歴史の逆流 時代の分水嶺を読み解く』を読みました。鼎談を書き起こしており、このような形式の書籍は他にも多くありますが、他書に比べると大変充実した内容でした。いろいろと学ぶところが多い書籍でしたが、「第1章 説明しない政治」に以下のような箇所がありました。
政治学を含め、社会科学の特徴は、自然科学と違って実験ができない点にあります。たとえば政治学の場合、こうなったら革命が起きるだろうと実験することは許されません。自然科学の中にも実験できないものはありますが、ほぼ実験で証明できる。そうした中で、歴史を学ぶというのは、いわば実験の代わりなんですね。過去の似たような事例、もちろん必ず違いはあるけれども、ある程度共通点があるような事例を見て調べて、こうなったら革命が起きるだろうといった具合に考察する。全ては一回ごとに違うからと歴史を調べなくなってしまえば、社会科学というか、社会について分析的に考えることは一切成り立たなくなってしまうわけです。
なるほど、と思いました。これまでにも「歴史に学ぶ」という言葉を耳にしてきましたが、「とにかく歴史に学ぶことが大切なんだ」と信仰しているだけで、その意義を深く考えたことはありませんでした。社会科学における歴史の意義が、自然科学における実験の意義と対象的に理解できるということに、間違いなく共通認識となっているか否か定かではありません。しかしこのような対比にはとても納得できます。
0 件のコメント:
コメントを投稿