朝テレビでNHKを視ていると鉄道の運行状況を伝えているのを目にします。それを聞くと「鉄道は順調な運転をしています」と言っている場合がありますが、若干違和感を感じるのです。「順調に運転しています」ではいけないのでしょうか。担当者が変わっても、表現が変わらないところを見ると、担当者の個性の問題ではなく、何か基準があって選ばれた表現を用いているように見受けられます。
「運転」というのは名詞ですが、「する」をつければサ変動詞になります。「順調」というのは形容動詞ですから、連用形なら「順調に」、連体形なら「順調な」と活用します。だから「運転をする」には連体形が接続して「順調な運転をする」となりますし、「運転する」には連用形が結びついて「順調に運転する」となるのが文法的な説明です。
ここは考え方の問題になるかもしれませんが、テレビで耳にする表現は「(順調な運転)をする」のように「順調な運転」という部分を一塊として捉えて「何々をする」という構文にあてはめていると考えられると思います。一方で「順調に(運転する)」という表現は「何々する」という動作を「順調」が形容していると考えられるでしょう。
テレビの鉄道運行情報の意義というのは、朝の通勤に備えて事前に情報を得ておくところにあるでしょう。鉄道が「運転している」のは当然の前提のはずで、その上で「遅れている」のか「順調」なのかという点に視聴者の意識は向いていると思います。表現として「順調に運転しています」の方が、知りたいことに意識を集中させるのではないでしょうか。
現行のテレビで用いられているように「何々をする」に「順調な運転」を入れた表現では、意識する対象が「順調な運転」か「遅れている運転」なのかということになり、フォーカスがぼけると思います。
ここで問題にした表現以外でも「何々をする」をベースとする事例が多い気がしています。もしかすると何か内規のようなものがあって、表現をコントロールしているのではないかと想像しています。
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