2019/10/17

キャロル・グラック『戦争の記憶』を読んで

Webで見かけた何かの記事で紹介されていた『戦争の記憶』(キャロル・グラック)を読んでみました。著者のCarol Gluckは日本近現代史などを専門としていますが、米国生まれです。日本近現代史を専門にしている理由は分かりません。

本書は副題に「コロンビア大学特別講義―学生との対話―」とあるように、学生の対話を活字化しているものです。「講義」と言っても、日本の大学のように学生が先生の講義を拝聴している訳ではなく、教師が学生に質問を投げかけると、学生同士が互いに議論を深めていくというスタイルです。

扱う話題は日本近現代史に関わる事柄ですが、学生側が(日本人もいるようですが)米国やアジアなど「世界中」からきています。流石に大学なので、議論で扱う内容について全く無知という事はなく、何らかの素養はあるはずです。しかし知識の深浅や、興味の対象などについて、日本人が日本近現代史について語る場合とは違った切り口からアプローチしているので、興味深いです。

「歴史的事実」という意味の歴史であれば、世界中どこでも同じはずです(とは言え、つい最近の事柄であってさえも「歴史的事実」を明らかにするのは、それほど容易ではありません)。しかし「歴史的事実」の幾つかを拾い出して再構成した「歴史の記憶」という意味の歴史では、そのような記憶が必要とされる事情が背後に潜んでいることが、本書で学べました。

0 件のコメント:

コメントを投稿