2019/06/17

比喩表現の「壁」と「柱」

2019年4月にノートルダム大聖堂が火災で被害を受けたことを契機に、2011年春にNHKで放映されていた「ダークエイジ・ロマン 大聖堂」を録画しておいたDVDで視ています。毎週1話ずつ視るようにしていて、第7話「奇跡を呼ぶ像」まできました。いちど最後まで視た作品ですから、結末まで分かっているのですが、久しぶりに視たこともあり、また作品自体も気に入っているので、ストーリに引き込まれています。

第7話には、キングズブリッジ修道院の院長を追われたフィリップ修道士と、仲間に引き込もうとするウェイルラン司教との駆け引きのシーンがあります。フィリップはウェイルランの誘いを拒否し、次のようなセリフを吐きます。
あなたの道徳を支える壁は腐っている。

言わんとすることは理解できますが、日本なら別な表現をとるでしょう。日本の建築は柱を建てることが基本ですが、この作品の舞台であるイングランド(など西洋諸国)では壁を作ることが建築の基本になっています。

日本の伝統的な建築物では、柱を建てることが大切で、壁はおまけ(と言っては言い過ぎかもしれませんが)です。だからこそ「大黒柱」 のような表現もあります。これに対してイングランドなどでは、壁を作ることが大切で、ついでに屋根を掛けると建物が完成します。

もし日本の作品で同様の表現を必要とする場面があれば、「あなたの道徳を支える柱は腐っている」となるでしょう。これは文化の違いです。ドラマを楽しむ時に、台詞の隅々にまで注意を払うことはないかもしれませんし、「道徳を支え」ているのが壁だろうが柱だろうが、ストーリの流れとは関係ないでしょう。とは言え、些細と思われる事柄にまで意識を向けることで、作品をさらに楽しめるようになると思うのです。

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