2019/01/24

4時間の壁

新幹線が開業すると並行する在来線がJRから切り離されてしまいますが、影響を受けるのは並行在来線だけではありません。類似する区間を運行している飛行機も競争にさらされます。そこで話題になるのが「4時間の壁」です。誰が言い出したのか根拠がわかりませんが、次のような記事があります。
上述したリストにある記事「北海道新幹線が狙う高速化、飛行機とのシェア争いは新局面へ?」(2019年1月7日)から引用します。
 「4時間の壁」という言葉は10年以上前から使われてきたようだが、誰が言い出したものなのかは定かではない。ただ経済誌がこぞって取り上げ、一般に知られるようになったのは、2011年3月の九州新幹線の熊本~博多間開業を控え、鹿児島中央~新大阪を約3時間45分で走破する「みずほ」の設定が発表されたころではなかっただろうか。
誰が言い出したか不明ながら、新聞やテレビの報道や解説では、あたかも真理のように言及されており、まるで「都市伝説」です。

新幹線の所要時間が(例えば)4時間3分から3時間56分になったところで、利用者が飛行機から新幹線に大移動するわけでもないと思うのですが。利用者が交通手段を選択するのは、所要時間だけではなく、運賃とか、利用できる時間帯なども加味して総合的に判断するはずです。

こういう根拠不明な言説が、知らず知らずのうちに常識として流布されてしまう状況に対して、個々人が注意しておく必要があると思います。信憑性の怪しい情報への耐性を日頃から鍛えておく必要があるのではないかと思います。

2019/01/20

PRESIDENT ALEXANDER GRAHAM BELL ON JAPAN

ナショナルジオグラフィックの日本語サイトに「そうだったのか!「ナショナルジオグラフィック」」という記事が2011年から2013年に連載されていました。この記事の第5回「ナショジオが見た明治の日本」では次のような記述があります。
 以降は1901年までに計4本の記事が掲載されました。そのひとつは1898年10月にグラハム・ベルが日本を訪問したときの手記です。
  「日本の過去25年間の目覚しい発展ぶりをみると……将来さらに成長を遂げる可能性が高い」とベルは結んでいます。 
グラハム・ベルは電話の発明で有名です。ウィキペディアにも次のように書かれています。
1898年にはベルが来日し、東京と京都で講演したほか、天皇にも謁見し、勲三等を受勲するなど外国人としては破格の優遇を受けた。講演では米国聾教育事情の紹介と日本への提言のほか、全米地形地質学会の会長でもあったベルは雨量と山岳の多い日本は水力エネルギーの宝庫であると指摘し日本の将来を鼓舞した。東京での講演は伊沢修二が『唖子教育談』としてまとめ、京都での講演については京盲文書が『ベル氏来院記』として出版した( 2013年に『ベル来日講演録 ―東京・京都―』(近畿聾史グループ編)として復刻)。 
1898年というのはナショナルジオグラフィック協会が発足して10年が経た頃のようです。グラハム・ベルは第2代会長(1897年~1904年)を務めていたようです。「The National Geographic Magazine」(Vo. IX, No. 12)には「PRESIDENT ALEXANDER GRAHAM BELL ON JAPAN」という記事が掲載されています。

既に販売は終了しているようですが、2013年頃に「 THE COMPLETE NATIONAL GEOGRAPHIC」(DVD-ROM 7枚組み)が発売されていたので入手しました。1888年の創刊号から2011年までの記事が(当時の広告も含めて)全て収録されています。ただし英語版です。これを使って、件のベルの記事を探してみました。1898年12月号の509頁から512頁にありましたので、読んでみようかと思います。

2019/01/16

雛飾りに駕籠?

雛飾りのカタログを見ていて、もうひとつ気付きました。段数が多くて、ちょっと豪華な雛飾りでは、最下段に牛車と駕籠がおいてあるものが散見されます。

雛飾りは歴史資料ではないので、何か特定の時代風俗を表現している訳ではないと思いますが、漠然としたイメージは、平安時代の朝廷が連想されます。右近の橘とか左近の桜があるのも京都御所からの連想ですし、牛車がでてくるのも、平安時代の公家のイメージに合致します。

しかし駕籠はどうなんでしょうか。

十二単(を着て外出した訳ではないと思いますが)で駕籠には乗れないのではないでしょうか。それに駕籠というと江戸時代のイメージが強く、平安時代のイメージと合わないのです。

むしろ輿の方が当時のイメージには合うと思うのですが、現代の商品としては、輿だと駕籠に比べて知られていないし、インパクトが弱いのかもしれません。

雛飾りが特定の時代風俗に囚われないということであれば、未来の雛飾りにはオープンカーが登場することになるかもしれません。今日的な感覚からすると違和感があるし、笑い話のように聞こえるかもしれません。しかし時代の行方は見通せませんし、そういう時代は意外と早く来るかもしれません。

雛飾りから五人囃子が消えた?

イオンモールに行ったら雛人形のカタログが置いてあったので貰ってきました。カタログに掲載されているのは、時代の要請なのか、内裏雛+α程度の商品ばかりでした。飾るスペースを確保するのが大変だからだと思いますが、内裏雛だけのものが多いですし、大きくても3段程度です。昔は7段くらいのものもあったと思いますが。

ふと気づいたのが、内裏雛+三人官女というパターンはあっても、五人囃子が出てこないことです。

童謡「うれしいひなまつり」では「♪ごにんばやしの ふえたいこ」と唄われるのに、その五人囃子が雛飾りから消えているとは、時代の移り変わりということなのでしょう。

2019/01/11

北海道&東日本パスで青森駅から函館駅へ

北海道&東日本パスは、青春18きっぷと似ていますが、いろいろと違うところがあります。そのひとつが、青森から北海道に渡る場合の移動手段です。青春18きっぷの場合は、オプション券を購入しないと北海道新幹線を利用できませんし、道南いさりび鉄道も利用できません。そうなると他の移動手段と言えば青函フェリーになってしまいます。

これに対して北海道&東日本パスの場合には、新青森と新函館北斗の間に限定されるものの、別途立席特急券を買えば北海道新幹線が利用できるので便利です。北海道新幹線開業前でも、青森と函館の間に限定されますが、自由席特急券を買えば特急に乗車できました。

このようにメリットが多い北海道&東日本パスですが、結局のところ北海道新幹線が開業して便利になったかというと、微妙です。特に青森駅と函館駅を移動する目的にとっては、あまり便利とも言えません。大幅に不便になった訳でもないのですが、あまり便利になった実感はありません。

大きな違いのひとつは、特急料金です。北海道新幹線開業前の自由席特急券に比べて、北海道新幹線の立席 特急券は、値段が大きく上がりました。

もうひとつの違いは、北海道新幹線には自由席がないことです。全席指定席なので、乗車区間で指定が予約されていない席を探して座るか、ずっとデッキなどで立っているしかありません。指定の有無を判断する確実な方法はなさそうですが、乗車直前に自動券売機の予約状況を見ておくようにしています。そこで空席表示になっていれば安心して座れるハズです。そう思っていたのですが、空席を確認した後で、予約が入ってしまい、座っていた席を移動するはめになったこともありますので、最終的には運だと思います。

さて移動時間はどうなのでしょうか。在来線の特急が新幹線になって、早くなったのでしょうか。青森駅から函館駅に移動することを考えると、結論として別に早くもなっていないというところです。目的地が函館駅ではなく道央方面であれば、また違う結論になるかもしれません。

北海道新幹線開業前の時刻表(2015年12月)と開業後の時刻表(2018年12月)を使って、青森駅から函館駅に移動する時間を確認してみました。

2015年12月では、例えば次のような移動手段があります。
  1. 【移動時間1時間58分】青森[10:31](スーパー白鳥1号)→[12:22]函館
  2. 【移動時間1時間56分】青森[13:00](スーパー白鳥11号)→[14:58]函館 
  3. 【移動時間1時間51分】青森[15:06](白鳥17号)→[17:02]函館
上述した例と似たような時間を2018年12月の時刻表で調べると、次のようになります。
  1. 【移動時間2時間11分】青森[10:40]→[10:46]新青森[11:21](はやぶさ5号)→[12:22]新函館北斗[12:36]→[12:51]函館
  2. 【移動時間1時間46分】青森[13:16]→[13:24]新青森[13:31](はやぶさ15号)→[14:37]新函館北斗[14:47]→[15:02]函館
  3.  【移動時間2時間】青森[15:05]→[15:16]新青森[15:31](はやぶさ21号)→[16:34]新函館北斗[16:45]→[17:05]函館
このように北海道新幹線だけの乗車時間は短いのですが、トータルで移動時間を考えると、別に早くもなっていないことがわかります。これは青森側も函館がわも、駅が離れているためでしょう。もし青森駅や函館駅と同じ場所に新幹線の駅があれば、新幹線による速度向上のメリットをダイレクトに享受できたはずです。

2019/01/08

オリエントとは

去年放送された「100分 de メディア論」で紹介された『オリエンタリズム』(E・W・サイード)を図書館で借りてきました。本来なら腰を据えて読むべきところですが、目を通すだけでも大変そうなので、貸出期間中はざっと眺める程度になりそうです。

最初の「第1章 オリエンタリズムの領域」 に次のような記述がありました(75頁)。
オリエントという語が、(中略)、極めて厳格に理解された。
この引用で略した箇所は次のように理解しました。要するに「オリエンタリズム」という語は、次の3種類として理解される場合があるということです。
  1. 単にアジア的東方全体の同義語 
  2. 遠く隔たっているものやエキゾチックなものを漠然と指し示すもの
  3. イスラム的オリエントを指すもの
「オリエンタリズム」という語の意味するところが、世間一般の理解として、この3種類だけという訳ではないと思います。しかしサイードは上述したような理解をしているのは間違いないでしょう。

オリエント(日本も含まれているのかもしれませんが)というものは、オリエントにいる人々が意識しているというよりも、(主として)西ヨーロッパの人々が描くイメージなのでしょう。もしかすると日本はオリエントに含まれていないかもしれません。

2019/01/06

気を遣う必要があるのは誰か

鉄道ジャーナルに掲載されているコラム「Culture & Japan Rail これもまた鉄道」の2019年2月号のタイトルは「時にはスマホのない頃のように」でした。この文章で書かれている指摘は、時代の変化を感じて、驚かされました。関連箇所を引用します。
「気を遣う」というのは、気を遣うことができない相手よりずっと優れていると言ったら言い過ぎなら賢い処世術だと信じていたのだが、この頃は、気を遣う=我慢する=立場が弱い、下であるということになっているようなのである。他人に気を遣うってそんなに嫌なことだったのか。
僕の感覚としても、「気を遣う」という行為は、どのように表現するかは別として、決して悪いことではなく、むしろ称賛されてもおかしくない事と思っていました。気を遣うことで、ギスギスしがちな世間の荒波を、円滑に進めるための手段になるかと考えていました。

コラムで指摘されているような思考の展開が、現在の主流になっているのか否かは不明です。それが多数派か少数派かは別にして、そのような考え方をする人がいてもおかしくない時代になったとは思います。

人間関係の機微を見ることがなく、表面的なことばかり見ていれば、「気を遣わない=立場が強い、上である」という価値観を持つに至るのもむべなるかなと思います。(決してそんな人ばかりではないのですが)社会的立場が上の人達の行動は、「気を遣わない=自分の思ったように行動する」と見えるのでしょう。人は、見えるものを見るのではなく、見たいものを見るということかもしれません。

「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という諺があることを忘れないでいたいと思います。

北海道新幹線が札幌まで完成した時の道東

北海道新幹線は新函館北斗まで開通しており、札幌まで延伸するのは2030年頃が予定されています。まだ10年以上先なので、予定通り開業できるか確定している訳ではありません。ただし札幌延伸されることは確定事項です。

北海道新幹線が開業すると、並行している在来線がJR北海道から分離されることになります。既に江差線は道南いさりび鉄道としてJR北海道から分離されています。札幌まで延伸された時にも函館本線が分離される予定です。

JRから分離されると県域単位で会社が分かれることになるようです。東北新幹線が新青森まで開業したときには、JR東日本の東北本線が岩手県側のIGRいわて銀河鉄道と青森県側の青い森鉄道に別れました。北海道新幹線の場合、札幌まで延伸されても自治体としては北海道なので、道南いさりび鉄道とは別の会社になるのも変ですが、この会社名のままで小樽まで経営するのも、それはそれで変な感じがします。

いずれにせよJR北海道からは切り離されるのですが、そうすると函館駅はどうなるのでしょうか。現在は函館本線の起点としてJR北海道の管理下にありますが、函館本線が分離されてしまったら、駅だけJR北海道という訳にもいかないのではないでしょうか。

ここで対岸の青森駅を考えてみると、東北本線の起点だった青森駅は青い森鉄道の駅となってしまいましたが、JR東日本の奥羽本線の起点としての顔を持っているので、今でもJR東日本の管理下にあります。

これに対して函館駅は、もはや青函連絡船も廃止されていますから、北海道新幹線開業で函館本線が切り離されてしまうと、JR北海道との縁も切れてしまうのではないかと思います。これを避けるために、新函館北斗から函館まではJR北海道の管理下に残すという荒業も考えられるかもしれません。もしそうなると、室蘭本線と接続する長万部との距離が遠いので、運用が難しいでしょう。

北海道新幹線の札幌延伸は楽しみですが、並行在来線の分離や、函館駅の去就など心配事もあります。今後の展開を見守っていきたいと思います。