2017/01/15

「高齢者の区分の提言」と「平均余命」

今年早々に日本老年医学会が「高齢者の定義 と区分に関する、日本老年学会 ・日本老年医学会 高齢者に関する定義検討ワーキングルプからの提言」を発表しました。現在は65歳以上となっている高齢者の定義を見直して65歳~74歳を准高齢者とし、「高齢者」と呼ぶのは75歳以上としてはどうかという提言です。この定義が社会に受け入れらて諸制度が変更されるのか、単なる話題で終わるのかわかりませんが、新聞の社説などにとりあげられているようです(例えば信濃毎日新聞では1月7日付で「高齢者「75歳」 安心の老後の基盤こそ」という社説を発表しています。)。

何歳から高齢者とするのかは統一した定義があるわけではありません。総務省統計局では65歳以上を高齢者として区分しています(高齢者の人口・世帯)。

ここでは65歳という年齢と平均余命(いわゆる寿命)との関係を考えてみたいと思います。参考にしたのは厚生省大臣官房統計情報部編集の『平成20年 簡易生命表』(ISSN 0911-8519)の「付録II 第1回~第20回 生命表(平均余命)」です。

0歳の平均余命は、第1回(明治24~31年)では男性42.8歳・女性44.3歳でしたが、第20回(平成17年)になると男性78.56歳・女性85.52歳にまで長くなっています。しかし注意しておきたいことは、明治期の寿命が50歳以下だったからと言っても65歳まで生きられないわけではないということです。

65歳 の平均余命を見てみると、第1回では男性10.2歳・女性11.4歳となっています。つまり75歳くらいまで生きているわけです。これが第20回では男性18.13歳・女性23.19歳ですから、79~86歳まで生存することが期待できるわけです。

ちなみに寿命が65歳を超すのは、男性が第11回(昭和35年)で 65.32歳、女性が第10回(昭和30年)で67.75歳のことです。

0歳の平均余命(寿命) と65歳の平均余命を比べてみると、寿命より長く生きていることがわかります。例えば第20回の男性の場合、0歳の平均余命は78.56歳ですが、65歳の平均余命は18.13歳なので83.13歳まで生存している訳ですから、約5年ほど寿命より長生きしています。女性の場合は、寿命自体は男性よりも長いのですが、比較した差をみると約3年ほど寿命より長いという値が出てきます。いずれにせよ男女とも65歳の平均余命は寿命よりも長い値になっています。ところが第1回では、寿命と65歳の平均余命による年齢との差は、30年強もあります。要するに0歳の平均余命は短い(50歳以下)にもかかわらず、65歳における平均余命は10年ほど残っているということです。

これは幼少期の死亡率が高いからだと言われます。それを生命表から読み取ってみます。第20回では男性において、0歳の平均余命は78.56歳、1歳の平均余命が77.79歳(つまり寿命78.79歳)、2歳の平均余命が76.83歳(つまり寿命78.83歳)、3歳の平均余命が75.85歳(つまり寿命78.85歳)、4歳の平均余命が74.87歳(つまり寿命78.87歳)、5歳の平均余命が73.88歳(つまり寿命78.88歳)、10歳の平均余命が68.93歳(つまり寿命78.93歳)です。つまり寿命はほぼ78歳で変わらないわけです。

ところがこれは第1回ではだいぶ様子が違います。おなじく男性をみると、 0歳の平均余命は42.8歳、1歳の平均余命が49.2歳(つまり寿命50.2歳)、2歳の平均余命が50.5歳(つまり寿命52.5歳)、3歳の平均余命が51.0歳(つまり寿命54.0歳)、4歳の平均余命が51.0歳(つまり寿命55.0歳)、5歳の平均余命が50.7歳(つまり寿命55.7歳)、10歳の平均余命が47.5歳(つまり寿命57.5歳)です。0歳の平均余命は42歳くらいなのに、1歳では寿命が50歳近くになっています。要するに生まれてすぐに亡くなる子供が多く、統計上の平均値を下げているということでしょう。

七五三というのは子供の成長を祝うという意義がありますが、今日ではあまり実感の伴わないかもしれません。しかし昔は無事に成長できるとは限らない時代でしたから、七五三を祝うことができたのは、とても嬉しいことだったに違いありません。

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